応援ぺえじトップへ

「サバイバーリプレイ・ケース2 第2部 12年目〜」

第1部へ

12年目
 4月
 10月
 11月
 12月(3/12更新)
 12年目総括(3/12更新)
13年目
 4月〜(3/14更新)


12年目

4月

 幕間

☆今月のイベント
・新人テスト……オーガ朝比奈
・新人スカウト……成瀬唯

 幕間2

社長「という訳で、久々の再開だ。
 ここでの助手は、これまで通り成瀬君にやってもらう事とする」
成瀬「よろしゅう頼んますわ〜。
 って、久々? それに、これまで通りってどゆこと?」

社長「ああ、その辺は気にしないでくれ。こっちの話だ。
 さて、ではもう一人の新人の紹介だ」
朝比奈「うすっ。オーガ朝比奈だ。よろしく」
成瀬「……ぷぷっ。オーガやて。ピッタリや」
朝比奈「わ、笑うなこのっ」
社長「朝比奈君は見た目通り、体格とパワーがずば抜けている。
 パワーの面ではすでに十分プロ級と言えるだろう。
 昔のウチの絶対王者を髣髴とさせるな。期待してるよ」
朝比奈「……んな事言われたの、産まれて初めてだ。
 ま、まあ見てろよ。アンタの期待は裏切らないぜ」

成瀬「なに照れてんねん」
朝比奈「うるせっ」
社長(まあ、あまりズバ抜けて絶対王者になられても困るんだけどな)

社長「さて、では再開に当たって、新たなルールを発表する」
成瀬「新たな、って、どんなん?」
社長「それは、これだ!」
 1.基本技はレベル2(関節使いのみスリーパー3可)
 2.休養は重症以上
 3.年1バカンス

成瀬「おおーっ。って、ウチ新人やからピンとこんわ」
社長「簡単に言うと、1はドロー対策だ。
 ウチの子達はスタミナは多いが、技が軽いので試合展開が遅い。
 よって、基本技にも魂を込めてもらう事で、展開を早くしたい」
成瀬「なるほど。2はなんか、物騒やな」
社長「よく考えたら、軽症で休んでるプロレスラーなんてそうそういない。
 しかもウチはインディーだ。そんなに余裕も無い。
 ケガは成長にも関わってくるから、
 いかにケガをしないかもトップに登りつめる為の条件となる訳だ。
 特に成瀬君。君は最初の3年が勝負なんだから、絶対にケガは避けるように」
成瀬「そない言われても……。ま、気ぃつけるけど。
 で、3は逆に嬉しいニュースやな」

社長「実際に2をやってみると、重症・入院連発で途端に野戦病院となる。
 せめて年に1回バカンスを設けて皆を労ってあげても、バチは当たらんだろうしな。
成瀬「皆がバカンス行ってんのに病院で寝てるとかシャレならんからなぁ。
 ほんま、大ケガには気ぃつけよ」

社長「今回はギリギリの成長よりは、幾分余裕を持たせたプレイとなる。
 人数が多いだけに、ケガのたびにセーブロードはシャレにならんからな。
 とりあえず、各々最終的に評価値1000が目標かな」

社長「とりあえず、久々という事で今月はイベントなしだ」
成瀬「なに言うてんねん。あるやん。ウチとユウのデビューって大イベントが」
社長「それもそうだな。しっかり頑張ってくれよ」
成瀬「任しときっ」

☆今月の成長
小縞  ヘッドバット1→2 ↑2
藤島  JOサイクロン 8
つばさ ドロップキック1→2
保科  ショルダータックル1→2

神田↓1 渡辺↓1 榎本↓2 真鍋↓3

 5月

☆今月のイベント
軽症……渡辺、保科、藤島、金井
重症……綾
写真集……綾
一日署長……つばさ
引退……木村コーチ
雇用……兵頭コーチ
新人スカウト……ミシェール滝

社長「今月も新メンバー加入だ」
滝「ごきげんよう、バンビーノ」
成瀬「あーっ!? アンタ、何しに来たんやっ」
滝「本当に失礼だなキミは。
 あの時言ったでしょう。私が真のスターである事を証明してみせると」

成瀬「本気やったんかいな」
社長「あの後、もう一度尋ねたら入団を了承してくれてね。
 もっとも、身辺整理が忙しいという事で成瀬君達よりは一ヶ月遅れになってしまったが」
滝「社長。安心してください。
 私が来たからには、この団体は数年で世界一の人気団体となるでしょう。ハハハハハッ」

成瀬「うわ〜。なんかすごいのが同期になってしもた」

社長「上位陣はタッグメインで組んだんだが、先月はそんなに過酷だっただろうか。
 気づけば所属メンバーの半分がケガ人だ」
成瀬「いや、プロレスってほんまきっついな。ケガすんのもわかるわ」
社長「成瀬君はとりあえずケガ無しで乗り切ったようだな」
成瀬「体はキツイけど、ケガではないからね。今月もいけるで」

社長「さて、今月はWFGヘビーのタイトルマッチだが。
 ファンからの要望で、保科君の再挑戦が求められているんだが、
 やはり先月のシングルでの敗戦(※幕間2参照)のイメージがあるんだろうな。
 神田君、構わないかい?」
神田「自分は構いません。あのシングルは、自分の我が儘で組んでもらった訳ですし。
 一番強い者がべルトを持つべきだという意見は当然でしょう」

社長「わかった。では今月は、2戦続けてだが、神田vs保科のタイトルマッチだ」

☆WFGヘビー級タイトルマッチ
 "WFG世界王者" 神田幸子 vs "戦いの大和撫子" フェアリー保科

ゴング直後からタックルを連発、主導権を握ろうとする神田だが、
保科のグラウンドを中心とした独特のリズムにいつの間にか引きずり込まれる。
最後は保科が一瞬の隙を突き、飛びつき腕ひしぎ逆十字で3カウントを奪った。

×神田 vs 保科○ 21分23秒 飛びつき腕ひしぎ逆十字

 「フェアリー保科、第12代WFGヘビー王座戴冠」

社長「おめでとう、保科君」
保科「なんだか少しずるい気もしますね〜。
 なかなか挑戦権が回ってこない方もいますのに〜」

社長「その巡り合わせの良さも、プロとしての資質だろう」
成瀬「いや〜、保科姉、凄かったな。
 あのさっちん先輩のジャブをひょいひょいくぐるんやもん。
 それに最後の腕ひしぎ! あれカッコええなぁ。
 今度ウチにも教えてくれへん?」

保科「ふふ。あれはある方の得意技を参考にしたものなんですよ〜。
 私が教えなくても、唯さんなら自然と身につくでしょう」

成瀬「?? そうなん?」

☆今月の成長
小縞 逆水平チョップ1→2
保科 肘打ち2→3
金森↓1 神田↓1 渡辺↓3 榎本↓1 成瀬1 真鍋↓2

  6月

☆今月のイベント
軽症……神田
重症……渡辺
入院……真鍋

成瀬「社長。トモ先輩が重症、つかさ先輩は入院やて。大丈夫なん、この調子で?」
社長「予想以上に負荷が掛かっているな、特にベテラン勢には。
 とりあえず二人には療養してもらうとして。
 今月はタッグのタイトルマッチを行うつもりだったんだが、こうなると選択肢も狭まってくるな。
 よし今月はカナカナ突堤かなかなコンビで行こう」
成瀬「アルトネリコネタとか、マニアック過ぎるで社長」

☆WFGタッグタイトルマッチ
 フェアリー保科、榎本綾 組 vs 金井美加、金森麗子 組

 早々に榎本を戦線離脱させると、目まぐるしくタッチを駆使しながら保科を追いつめる金森組。
 金森が必殺ジャンピングボレーを叩き込み、ぐらつく保科。
 しかしここで榎本が救援。ミサイルキックを放つなど反撃に出ると、
 体力の回復した保科が金井に飛びつき腕ひしぎ、金森に保科流天地返しを決める(HP0)
 金森これをカウント2.8で返すと、金井を呼び込み二人掛かりで逆にパワーボム。
 そのまま金井が榎本をコーナーに押さえ込む間に、
 フラフラと起き上がった保科に金森がバックハンドショットを叩き込み3カウントを奪った。

×保科、榎本 vs 金井、金森○ 48分14秒 バックハンドショット→体固め

 「金井、金森組 第2代WFGタッグ王座戴冠」

社長「榎本君に的を絞るかと思っていたが、まさか保科君から3カウントを奪うとはな。
 ニ冠王が一月で陥落とは」
金森「美加はなんだかんだでベルト挑戦が流れちゃってたもんね。
 せっかくのチャンスだし、なんとか物にしたかったんだ」

金井「これがベルトか〜。きれ〜」
金森「来月のDリーグで優勝すればシングルの挑戦権も回ってくるわ。頑張ってね」
金井「は〜いっ」

☆今月の成長
金井 エルボー3
小縞 ドロップキック1→2 ↑1
藤島 ドロップキック1→2
金森↓1 神田↓1 朝比奈1 榎本↓1 成瀬2 真鍋↓1

 7月

☆今月のイベント
契約終了……ウェイン・ミラー
完治……渡辺
入院……榎本
退院……真鍋
軽症……滝

成瀬「今度はあやっぺ先輩が入院やって。
 つかさ先輩も退院はしたけどしばらく療養やし」

社長「二次減衰期は軽症でも無理をしない方がいいのかもしれないな」
滝「ああっ。私も神から賜ったこの美しい体に傷をつけてしまったっ」
成瀬「アンタは呼んでへんっ」

社長「今月は次期ヘビーベルト挑戦者決定も兼ねて、Dリーグの開催だ。
 出場メンバーは、藤島・香澄・金井・つばさ、の4人。次世代の主役達だな」

『Dリーグ』

初日

 △金井 vs つばさ△ 30分引き分け
 試合終盤、勝負に出たのはつばさ。
 オレンジスプラッシュ、アプリコットカッターを決め、
 金井のフライングボディプレスを膝で迎撃(HP10%)
 トドメとロープへ走ったが、そこに金井が組み付き、必殺ノーザンライトボンバー炸裂(HP1%)
 しかし、カウント2.8。
 お互いあと一撃、という所で無念のタイムアップ。

 ○藤島 vs 香澄× 15分31秒 ハニースラッシュ→体固め
 手数で上回る藤島が香澄を追い込む。
 藤島がジャーマンを狙ったが、香澄上手く丸め込んでこれを切り返すと、
 すぐさま必殺雷みこし(HP35%)
 カウント2で跳ね除けた藤島に追い打ちを掛けようとロープへ飛んだマイトスだが、
 ここで藤島カウンターの必殺ハニースラッシュ。
 マイトスを薙ぎ倒し(HP0)一気に3カウントを奪った。

2日目

 ○金井 vs 香澄× 12分59秒 ムーンサルトプレス
 うっかり否観戦orz

 ○藤島 vs つばさ× 24分41秒 京都西陣の舞
 引き出しの数の差で、つばさを追い詰めていく藤島。
 一度は切り替えされタイガードライバーだが、2度目でしっかり決める(HP0)
 が、これを2.8で跳ね除けたつばさ、驚く藤島に必殺アプリコットカッター。
 しかし最後は京都西陣の舞で粘るつばさから3カウントをもぎ取った。

最終日

 ×香澄 vs つばさ○ アプリコットカッター→体固め
 完全に勢いで上回ったつばさ。
 スピードを活かして序盤から香澄を攻めまくり、
 最後はアプリコットカッターを決め3カウントを奪った。

 ○藤島 vs 金井× 30分0秒 ハニースラッシュ→体固め
 序盤は押し込まれていた金井だが、場外戦でブレーンバスターを決めると、
 リング内でももう一発ブレーンバスター、さらにミサイルキックを連発し一気にペースを握る。
  藤島もヒップアタックで反撃するが、2発目をキャッチした金井、
 ここで必殺ノーザンライトボンバー(HP0)。
 なんとか2.8でクリアした藤島を、すぐに捕まえ今度は正調ノーザンライトスープレックス。
 しかし藤島ロープエスケープ。
 ならばともう一発ノーザンでぶん投げた金井だが、瞬間ロープを掴んだ藤島、
 バランスを崩して両者場外へ転落。
  ここで息を吹き返した藤島、場外で投げ捨てタイガードライバー(HP10%)、
 金井をリングへ投げ込むと、すぐさまNO.1アイドルスラムで叩きつける(HP0)。
 しかし金井、これを2.8で返す驚異的な粘り。
 だが最後は、フラフラと立ち上がった金井に藤島が渾身のハニースラッシュを叩き込み、
 タイムアップギリギリで3カウントを奪った。

Aブロック勝ち点
藤島(A)-
金井(B)×-
マイトス(C)××-×
つばさ(D)×-

優勝 ハニービー藤島(初) 

社長「最後は凄い試合だったな」
藤島「ほんと。あの泣き虫の美加があんなに粘るなんて思わなかったわ」
社長「いや、それを言うなら藤島君の粘りも凄かったぞ。あのノーザン3連発を凌ぐとは」
藤島「自分でもビックリしちゃった。けど、私はあの子達より年上だもん。
 しっかり勝って、もう一回ベルト挑戦したいもんね」
社長「うむ。来月は文句なしに藤島君が挑戦者だ」
藤島「やったぁ。私の晴れ舞台なんだから、おっきい会場用意してよね、社長」

社長「後は、つばさ君の健闘も光ったな」
成瀬「手数では負けてへんかったもんね。
 極め技のバリエーションが増えれば、結果も違ってたかも」
社長「まあ彼女はまだこれからの子だからな。
 反面、香澄君は元気が無かった。
 まあ、彼女にはかわいそうな事をしてしまったしな」

☆今月の成長
香澄 フライングボディプレス(大江戸花火)8
保科 ショルダータックル1→2
金森↓1 神田↓2 渡辺↓2 朝比奈1 榎本↓2 成瀬3 小縞2

 8月

☆今月のイベント
退院……榎本
完治……真鍋
軽症……マイトス

社長「今月はWFGヘビーのタイトルマッチだ」
成瀬「ウチのトップ2の激突や。見物やで」

☆WFGヘビー級タイトルマッチ
 "WFG世界王者" フェアリー保科 vs "無敵のアイドル" ハニービー藤島

 得意のグラウンドに持ち込みスタミナを削っていく保科。
 藤島、持ち前のスピードを全く活かせず。
 最後は保科が飛びつき腕ひしぎで一気にギブアップを奪った。

 ○保科 vs 藤島× 25分43秒 飛びつき腕ひしぎ逆十字

 「フェアリー保科、初のタイトル防衛に成功」

社長「う〜む。完勝だったな。保科君」
保科「いえ〜。たまたまです〜」
社長「今年の保科君はシングルでは絶好調だな。はたして誰が止められるのか」

☆今月の成長
金井 ボディスラム2
藤島 ラリアート3
金森↓1 神田↓2 渡辺↓1 朝比奈3 榎本↓1 滝2 成瀬5(体力2へ) 真鍋↓2 小縞2

社長「おお! やったじゃないか成瀬君。半年経たずに体力2になるとは」
成瀬「そりゃあもう。
 朝から晩まであのマッチョコーチに追い掛け回されてんねんから、
 効果も出えへんとやってられんわ」
社長「しかし、これは予想外だ。てっきり1年掛かるとばかり思っていたからな。
 よしよし。これで方向性も見えてきたぞ」

 9月

☆今月のイベント
軽症……渡辺、真鍋、つばさ、成瀬
空き巣……50%
完治……榎本

社長「おおぉ……資金が貯まってきたと思ったら、空き巣とは……」
霧子「わ、私のお給料が……」

社長「今月もケガ人が多いな。さて、どうしたものか」
成瀬「ウチなら平気やで、このくらい。
 ようやく慣れてきたとこやし、休むなんてもったいないわ」
社長「そうだな。でも、くれぐれも悪化させないようにしてくれよ」

社長「さて、今月のタッグタイトルだが……」
香澄「社長。ボク、つばさと組んで挑戦したい」
社長「私は構わんが……いいのか、真鍋君は」
香澄「だって、あいつケガだらけだし。
 無理させてまた入院なんてしたら、ボクもイヤだから」
社長「そうか。わかった。では、今月は君とつばさ君のタッグでいこう」
香澄「やったっ。社長、ありがとっ」
社長「ただし、真鍋君には君からよく言い聞かせておいてくれよ」
香澄「了解っ」

☆WFGタッグタイトルマッチ
 金井美加、金森麗子 組 vs アプリコットつばさ、マイトス香澄 組

 つばさが試合をかき回し、香澄が大技を決める、二人の役割分担ががっちりはまったこの試合。
 バックドロップ2連発で大ダメージを負った金森、
 必殺ジャンピングボレーでお返しし、なんとか金井にタッチするが、
 その金井も裏投げでぶん投げる香澄。
 再びリングインした金森を自陣側で裏投げで叩きつけると香澄ポストへ上り、
 ここで新技・大江戸花火(Fボディプレス8)が炸裂!
 つばさが金井を押さえ込む間に、3カウントを奪った。

 ×金森、金井 vs つばさ、香澄○ 24分24秒 大江戸花火

 「つばさ、香澄組 第3代WFGタッグ王座戴冠」

香澄「やったよつかさ、ベルト獲ったよ」
つかさ「ふ〜ん」
香澄「なんだよ、喜んでくれないの?」
つかさ「だってぇ。一緒に巻くの、あたしじゃないんだもん。つまんないじゃん」
香澄「それは……でも……」
つかさ「……なーんてねっ。う〜そ。おめでと、かすみんっ」
香澄「あ……うんっ。ありがとう、つかさっ」

☆今月の成長
藤島 ショルダータックル1→2
香澄 ボディスラム2(上書き)
つばさ オレンジスプラッシュ100%(シューティングSプレス8)
金森↓1 神田↓1 渡辺↓1 朝比奈1 榎本↓3 滝1 成瀬1 真鍋↓1 小縞2

 10月

☆今月のイベント
契約終了……テレビ関東
軽症……榎本
重症……神田
完治……渡辺、真鍋

 〜

ー前回のタイトルマッチについて。
藤島「あの時は完全にあの人ペースに巻き込まれちゃったからね。
 どうにもやりにくいってのは確かにあるけど、
 そうは言っても勝たなきゃベルトは獲れないわけだし」
ーWFGヘビーは保科選手の長期政権になりそうか?
藤島「そうね。上世代の人は、正直、もうね。
 かと言って金井や香澄じゃ、まだ厳しいでしょ。
 つばさは勢いあるけど、現時点じゃあの人の引き出しの多さに対応できないでしょうね。
 とくれば、私しかいないわよね、やっぱり」
ー次回挑戦でのベルト奪取の自信は?
藤島「もちろん、あるに決まってるじゃない。
 名実共に私がココのナンバー1アイドルだって、今度こそ証明して見せるわ。
 その為の切り札も用意してあるのよ」
ー切り札とは?
藤島「必殺技よ。ひっさつわざ。
 そうね。名前だけ教えてあげる。『ラストアンコール』
 これが決まったら、もう誰もリングに立っていられないわ」
ー来月にはPoFGシングルトーナメントが開催されるが、そこでの初披露となるか?
藤島「そうね。状況次第だけど、そのつもりよ。
 ベルトもそうだけど、PoFGも当然欲しいわよね。だって、プリンセスだよ?
 ざっと見回して、誰が一番その称号が似合うのかって聞かれたら、私しかいない訳だし。
 ファンのみんなもそれを望んでるもんね」

ーでは、最後に一言。
藤島「ファンのみんな。いつも応援してくれてありがとう。
 今度こそトップアイドルに輝いて見せるから、楽しみにしていてね。チュッ♡」

 〜週刊リング10/12号 ハニービー藤島単独インタビューより抜粋〜

社長「という記事が先週号の週刊リングに出ていた訳だが」
成瀬「なんだかよくわからんがとにかく凄い自信やね、瞳先輩」
社長「あえて煽っている部分もあるんだろうけどな。
 彼女にとっては今年が勝負の時だろうし」
成瀬「社長は瞳先輩の切り札って知ってんの?」
社長「ああ。多分変形のJOサイクロンだろうな。
 最初は違う名前を考えていたようだが、ここまで使う機会もなかったし、
 思い切って変えてみたんだろう。今シリーズでは披露する機会もあるんじゃないか?」
成瀬「ぶっちゃけて言うと、必殺技変更って事やな」

社長「さて。今月の目玉は藤島君のインタビューにもあったように、
 PoFGシングルトーナメントだ。神田君が重症で出場できないのは残念だが。
 過酷なワンナイトトーナメントなだけに、仕方ないな」
成瀬「出場メンバーは、保科、藤島、香澄、金井、つばさ、金森、渡辺、真鍋、の8人や」
社長「抽選の結果、1回戦は藤島vs金井、渡辺vs真鍋、つばさvs香澄、金森vs保科 となった」
成瀬「いきなり美加先輩は厳しいなあ瞳先輩」
社長「まあ誰と当たっても厳しいとは言えるがな。どういう結果になるか、楽しみだ」

『PoFGシングルトーナメント』

1回戦

 ○藤島 vs 金井× 27分56秒 ラストアンコール
藤島がドロップキックを連発で放てば、金井が重いボディスラムで動きを止める。
先に仕掛けたのは藤島。ノーザンライトからシャイニングウィザード2連発で追い込むが、
金井もヒップアタックをトペ・レベルサで切り返すと、
ミサイルキックにフライングボディプレスと畳み掛ける。(藤島HP10%)
しかし藤島これをカウント2.8で返すと、反撃のタイガードライバーを決め、
最後は宣言通り、新技ラストアンコール(JOサイクロン8)で金井をマットに叩きつけ、3カウントを奪った。

 ○渡辺 vs 真鍋× 18分32秒 ダンシングクイーンプレス
ストレッチプラム、ジュリアロックで真鍋のスタミナを削った渡辺(真鍋HP10%)
だがここから真鍋が怒涛の巻き返し。バックドロップで投げつけるとストレッチプラムで絞り、
なんとかロープに逃れた渡辺をトドメと必殺キスマイアースで押し潰す。(渡辺HP5%)
しかし渡辺にこれをカウント2.8で返されると真鍋の勢いが途切れ、
逆に渡辺がダンシングクイーンプレスを決め、3カウントを奪った。

 ×つばさ vs 香澄○ 14分40秒 雷みこし
タッグ王者の対決となったこの試合。序盤はスピードでつばさが完全に圧倒。
香澄に何もさせぬまま完封するかとすら思われたが、
つばさのオレンジスプラッシュ2連発に耐え(香澄HP10%)、
カウント2.8跳ね除けた香澄が気合一閃、必殺雷みこしでつばさを投げ飛ばす。
 ここを勝機とばかりに香澄がラッシュ。
バックドロップにニールキック、大江戸花火まで繰り出すが、
つばさカウント2.8でなんとかクリア(つばさHP0)すると、
今度はつばさがオレンジスプラッシュ100%を決め(香澄HP0)、
今度こそ決まったかと思われたが香澄、執念のロープエスケープ。
つばさの集中が途切れたその一瞬、香澄が素早く組み付き再び雷みこしを決め、
激戦に終止符を打った。

 ○保科 vs 金森 12分4秒 飛びつき腕ひしぎ逆十字
トーナメント対策か、ゴング直後から仕掛けた保科。
ショルダータックルを連発すると、早くも裏拳を叩き込み、
さらに保科流真空落としで試合を終わらせようとしたが、
これを金森ウラカンラナで切り返し、さらにエルボーを叩き込む。
 しかし最後は保科が保科流天地返しで金森の動きを止めると、
執拗な腕ひしぎでとうとうギブアップを奪った。

準決勝

 ○藤島 vs 渡辺× 7分17秒 シャイニングウィザード→体固め
藤島をリング中央に捕らえジュリアロックで絞り続けた渡辺だが(藤島HP0)、
藤島ド根性でギブアップを拒否。
根負けした渡辺の手が緩んだ所で藤島体の柔らかさを活かしてなんとか脱出すると、
今日の気合の入りを表すかのように、珍しく吼えて必殺ラストアンコール(渡辺HP5%)
さらにNo.1アイドルスラムまで繰り出すが、
しかし渡辺もこれをカウント2.9で返して見せる。
最後はふらつく渡辺に藤島がシャイニングウィザードを叩き込み、
そのままのしかかって強引に3カウントを奪った。

 ×香澄 vs 保科○ 飛びつき腕ひしぎ逆十字 3分46秒
ゴングと同時に捨て身で突っ込んだ香澄を、
まるで完全に読んでいたかのようにひらりといなした保科、
一瞬にして飛びつき腕ひしぎに捕らえ、堪え続けた香澄からとうとうギブアップをもぎ取った。

 〜

『PoFGシングルトーナメント 決勝戦』
 ハニービー藤島 vs フェアリー保科

すでにボロボロの藤島に対し、余力十分の保科。
いきなりの保科流天地返しで万事休すかと思われたが、
藤島カウント2.9でこれをなんとか返すと、
ボディスラムにエルボー、ドロップキックとがむしゃらに攻め続け、
その鬼気迫る勢いに一瞬怯んだ保科のバックを取ると、ここで必殺ラストアンコール!(保科HP45%)
カウント2.5で肩を上げた保科に、追撃を狙いコーナーへと踏み出した藤島だが、激闘の余波か足がもつれる。
その隙を見逃さず背後から絡みついた保科、必殺・天国超特急に捕らえると、
耐え続ける藤島を容赦なく締め上げ、とうとうギブアップを奪った。

 ×藤島 vs 保科○ 8分23秒 天国超特急

 優勝 フェアリー保科(2)

社長「う〜む。凄まじい盛り上がりだったな。
 とりあえず優勝おめでとう、保科君」
保科「ありがとうございます〜。
 ……でも〜。昨日の私は、正直ヒールみたいでしたね〜」
社長「いや、まあ……そうだな。
 今回は会場全体が藤島君寄りだったからなあ。やりにくかったかい?」
保科「いえ〜。チャンピオンはそういう立場なんだって、よく知ってますから〜」
社長「そうか。中江君の事をずっと見ていたものな。
 それで、来月のヘビータイトルマッチだが」
保科「もう一度瞳さんと、ですよね。ええ、もちろんいいですよ〜」
社長「あの試合を見れば、改めて万全な状態での二人の試合を見たいと思うのは、
 当然のファン心理だろうからな」
保科「うふふ、私も楽しみです〜」

 〜

☆今月の成長
藤島 フロントスープレックス 2→3
香澄 ギロチンドロップ 2→3
金森↓2 渡辺↓1 滝2 真鍋↓3

 11月

藤島「う〜ん……」
真鍋「なぁに〜。瞳ったら難しい顔しちゃって。似合わな〜い」
藤島「あ、つかさ先輩。もう、ほっといてくださいよ。
 私、今大事な考え事してるんですから」

真鍋「どうやったら保科先輩をやっつけられるかな〜、って事?」
藤島「ええっ。ど、どうしてわかったんですか」
真鍋「そんなのすぐわかるよ〜。いつもは試合で目立つ事しか考えてない瞳が
 そんな顔するなんて、他に無いじゃん。ま、考えたってムリムリだけどねー」

藤島「う〜。もう、ほっといてくださいってば!」
真鍋「やん、怒らせちゃった?」
藤島「知りませんっ」
真鍋「あらら。機嫌直してよ。
 そうだ。じゃあお詫びに、とっておきのオイシイ話をプレゼントッ」

藤島「その手には引っかかりませんよ〜だ。
 つかさ先輩の持ってくる話なんて、ロクなの無いんだから」

真鍋「いいのかな〜、そんな事言って。
 こ〜んなオイシイ話、もう無いと思うんだけどな〜」

藤島「……聞くだけですからね」
真鍋「むふ〜ん。あのね、ごにょごにょごにょ……」
藤島「え、ええーっ!? い、いいのそんな事してっ」
真鍋「だーいじょうぶ。社長は甘いから」
藤島「で、でも〜。ファンのみんなにも悪いし……」
真鍋「普通に試合して負けちゃう方がファンもガッカリするって。
 いいからあたしに任せときなさいって。ね?」

藤島「う〜ん……いいのかなぁ……」

 翌週。プロレス誌をセンセーショナルな見出しが踊る事になる。

 『ハニービー藤島、タイトルマッチを前に謎の失踪!』

 〜

☆今月のイベント
提携終了……TWWA
再提携……TWWA
海外遠征……藤島(TWWA)
完治……神田、榎本
重症……真鍋
写真集……小縞

社長「……さて」
成瀬「社長、落ち着いてる場合かいな。瞳先輩、いなくなってしもうたで」
社長「ああ、それなら心配ない。藤島君はTWWAへ海外遠征に出発したんだ。極秘裏にだけどね」
成瀬「海外? なんでまた」
社長「今のままでは保科君に勝つことは厳しいと思ったんだろうな。
 まあ短期だけど、何か一つでも身につけてくれればね。
 この間、D女の社長と話した時に海外遠征の重要性を説かれて、思うところもあったんでね」
成瀬「ああ、あの胡散臭いマスク被ったレフェリーか。信用できんのかいな。
 けど、せやったらなんでちゃんと公表せえへんの?」

真鍋「な〜に言ってんの。バラしちゃったら面白くないじゃん。お笑いの基本でしょ?」
成瀬「あ、つかさ先輩。なるほど、先輩が一枚噛んでたんやな」
真鍋「ぶー。人を悪の元凶みたいに言わないでほしいんだけど。
 なーんて、まあ実際そうなんだけどね。アハハ。
 で、社長〜。例の件、考えておいてくれた?」

社長「あ、ああ。……しかし、大丈夫かい。今度のケガも、軽くはないだろう」
真鍋「だーいじょうぶだって〜。もう慣れっこだよ、こんなの。
 今年に入って何回重症で欠場したと思ってんの」

成瀬「慣れっこって。そんなん慣れるもんとちゃうでしょ」
真鍋「い〜い、唯。プロレスラーってのは、現役でいる限り怪我と付き合ってくものなんだよ」
成瀬「つかさ先輩……」
真鍋「……なんちゃってー。どう、カッコ良かった?」
成瀬「……ウチの感動、台無しや」
社長「話を戻すが。
 ……それなりのパフォーマンスを約束できないようなら、承諾はできないぞ」
真鍋「んも〜。社長ってばうたぐり深いんだから。
 あたしの事信用してよ。相方もちゃんと、大舞台に強い子を選んでるからさ」

社長「……う〜む」

 そして翌日。
 フェアリーガーデンは、ハニービー藤島の失踪によるWFGヘビータイトルマッチの延期と、
 来シリーズの予定だったWFGタッグタイトルマッチの、今シリーズへの繰り上げを発表した。

 『WFGタッグタイトルマッチ
  マイトス香澄、アプリコットつばさ 組 vs X 組』

 〜

成瀬「ところで社長。さっきから何見てんの」
社長「これかい? 海外の新興プロレス団体のビデオだ。
 なかなかドラマチックで面白いぞ。ウチにも取り入れられるかと思ってな」
成瀬「へ〜。アメプロか。なんて団体やろ。えーっと、ロア?」
???「ロアではない、ローだっ!!」
成瀬「な、なんやっ!? 空耳か……」

 〜

 12年11月
  シリーズ最終戦 敦賀運動公園体育センター(超満員)

アナ「さあ、今宵のメインイベント、WFGタッグタイトルマッチ。
 いまだ明かされていない挑戦者チーム。その正体はいったい誰なのか?
 すでにチャンピオンチームは入場済み。
 後は挑戦者チームの入場を待つだけという珍しい形になっています」

 瞬間、暗くなる場内。
 そして大音量で鳴り響くダンスミュージックと、場内を駆け巡るスポットライト。

アナ「おおーっと! こ、この入場曲はっ!?」

渡辺「ジャジャーンッ!」

アナ「あーっと! Xの正体は、なんと渡辺智美だーっ!
 すでにタイトル戦線からは一歩引いたと思われていたが、
 生来の目立ちたがりの宿命か、ここで華麗に返り咲きかーっ!?」

 渡辺の入場曲がストップすると、今度はコミカルな曲が流れ始め、スポットが彼女の横に集まる。

真鍋「みんなー、お待たせーっ。
 みんなのラブリー小悪魔、つかさちゃんの登場だよーっ!」

アナ「そしてそのパートナーは、サキュバス真鍋だーっ!
 これは、まさかの5年組のタッグ再結成!
 世代交代に待ったをかけるべく、再び立ち上がったのか!
 そしてその横でニコニコしている榎本っ。
 彼女はおそらく今の状況をよくわかっていないのでしょう」

 歓声の中、花道を歩く真鍋と渡辺。
 リングインした真鍋は、赤コーナーで動揺している香澄を見てにひひと笑うと、
 早速マイクを握り、アピールを始めた。

真鍋「みんなーっ。あたし達が挑戦者でガッカリしたー? ごめんねー。
 でもー、今日わざわざ来てくれたみんなに、ビッグなプレゼントッ。
 一生の記念になる試合だから、楽しんでねーっ」

 よく通る声でそう言うと、真鍋は目を閉じ、大きく息を吸い込んだ。そして。

真鍋「今日の試合ぃ〜。負けたら、引退しまーすっ!!」

 一瞬の静寂。そして沸き起こる、怒号と歓声。

アナ「な、なんとーっ! 真鍋、突然の引退宣言っ!
 このタイトルマッチにプロレス生命を賭けると言うのかっ!
 これはフェアリーガーデン旗上げ以来の大事件だーっ!!」

香澄「ちょ、ちょっとつかさっ。どういう事だよっ」
真鍋「ん〜。あたしなりの、ケジメってヤツ?
 あたし達の挑戦でベルトの価値が下がったなんて言われたくないし〜。
 本気だってところを見せようかな〜って」

つばさ「そ、そんな。つかさ先輩……」
渡辺「アハハ、泣きそうな顔してるっ。
 本当はつかさも目立ちたいだけなのに、騙されちゃって〜」

真鍋「ちょっとトモ、バラさないでよ〜。ぶ〜」
香澄「つかさ。……本気なんだよね」
真鍋「なぁに〜。手加減してくれるの?
 さっすがかすみん。やっさし〜」

香澄「……そんな訳ないだろ。全力で潰すから」
つばさ「で、でも、香澄先輩っ」
香澄「つばさ。もしここでベルト獲られるようなら、タッグ解消だから」
真鍋「そうそう。あたしのかすみんを、へっぽこぴーなつばさなんかに渡せないからね」
つばさ「む〜。いいですっ。あたしだって本気でやりますからっ」
渡辺「うわ〜。なんか盛り上がってるぅ。
 あたしも頑張って目立つぞーっ」

アナ「さあっ、4人が臨戦態勢に入ったっ!
 そして今、試合開始のゴングがっ」

 カーーーンッ!!

アナ「鳴り響いたーっ!!」

 〜

☆WFGタッグタイトルマッチ
 マイトス香澄、アプリコットつばさ 組 vs サキュバス真鍋、渡辺智美 組

試合開始と共に香澄がダッシュ。
真鍋を捕まえるとボディスラムの連発から早くも雷みこし。
なんとか渡辺にタッチした真鍋だが、渡辺も防戦一方。
再びリングインした真鍋と、香澄とタッチしたつばさが対峙するが、圧倒的にチャンピオンチームのペース。
つばさのアプリコットカッター2連発(真鍋HP0)で万事休すかと思われたが、
3発目を狙ったつばさをギリギリでかわすと、
真鍋、起死回生の必殺キスマイアースでつばさをマットに押し潰す。

転がりながら渡辺にタッチした真鍋だが、大きすぎるダメージに戦線離脱。
ロンリーバトルを強いられた渡辺、これまた防戦一方。
しかしエスケープを繰り返し、粘り続ける渡辺。一方、決めきれないチャンピオンチーム。
香澄の逆片エビ固めをロープを掴んでなんとか凌ぐと、
フィニッシュ狙いに組み付いた香澄の背後へスルリと回りこみ、
渡辺渾身の必殺サタデーナイトフィーバー。
しかし香澄、ロープエスケープ。

ようやくエプロンに戻った真鍋に渡辺がタッチ、リングインした真鍋だが、
香澄それを待っていたかのように正面から捕まえ、雷みこしでマットに叩きつける。
真鍋ピクリとも動けず、香澄の手の中で最後の3カウントを聞いた。

 ○香澄、つばさ vs 渡辺、真鍋× 26分21秒 雷みこし

 「香澄、つばさ組 初防衛成功」

 〜

真鍋「あはは……やっぱり負けちゃった」
香澄「……バカだよつかさ。そんな体でリングに上がるなんて」
真鍋「だって、最後にかすみんと本気で試合したかったんだもん」

 試合後、そのまま真鍋の引退セレモニーが行われた。

つばさ「うう〜。つかさせんぱぁい〜。最後の一撃、効きましたぁ〜」
真鍋「あ〜も〜涙で顔がグチャグチャじゃない。子供じゃないんでしょ」
つばさ「だ、だってぇ〜。ヒック」
真鍋「はいはい。泣かない泣かない。
 あんたにはこれからかすみんの事を頼まなきゃいけないんだからさ。
 しっかりしてくれないと困っちゃうな」

つばさ「は、はいっ。がんばりますからーっ。ヒック」
真鍋「よしよし」

 そして、リング上で最後の挨拶。

真鍋「ファンのみんな〜っ!これからもフェアリーガーデンと、
 ついでにあたしの第二の人生も、応援ヨロシク〜!」

 鳴り止まぬ拍手と歓声の中、リングを去る真鍋。

 〜控え室〜

真鍋「あたた……。ちょっとこれは、もう歩けないかな」

 ガチャッ。

真鍋「あっ、かすみん」
香澄「救急車来てるよ。社長が、このまま検査入院しろってさ」
真鍋「え〜。引退パーティーとかは〜?」
香澄「そんな状態じゃ無理に決まってるだろ」
真鍋「ぶ〜」

 一瞬の沈黙。

香澄「まさか、つかさが先に引退しちゃうなんてね」
真鍋「にゅふ〜。寂しいのかな〜?」
香澄「…………うん」
真鍋「えっ」
香澄「寂しいに決まってるだろっ。
 なんで……ボクより先に辞めちゃうのさ……。
 あそこに行けば、つかさだってまだ」

真鍋「ダメだよ。だって、そしたらかすみんがあたしより先に引退しちゃうじゃん。
 かすみんがいないリングじゃ、つまんないもん。だから、いいの。
 あたしのプロレスはここで終わり」

香澄「つかさ……」
真鍋「知ってた? あたし、かすみんを見てプロレス始めたんだよ。
 東北の田舎のちっちゃなプロレス団体で、来る日も来る日も外国人にやられながら、
 それでも立ち上がって向かっていく、あたしと同じくらいの背丈の女の子」

香澄「…………」
真鍋「その姿を見て、ゾクゾクっとしたの。
 ああ、あたしもこの子をイジめてみたい〜、って」

香澄「……ヘンタイ」
真鍋「にひひっ。
 ……って言うのは冗談で。本当は、あたしもこの子みたいになりたいって、そう思って。
 だから、かすみんと一緒にリングに上がれて楽しかったし。最後の相手がかすみんで良かった」

香澄「悔いは、ないの?」
真鍋「ないよ。
 あたしみたいなのがベルトを巻く事もできたし、これ以上贅沢言ったらバチが当たっちゃうよ」

香澄「……そっか」
真鍋「それに、さ。仮にあと5年、リングに上がれるとしても。
 その代償がもしかすみんの記憶だとしたら、って思ったら。
 ……ムリだよ。怖いもん」

香澄「……あの時、泣いてくれたよね。つかさ」
真鍋「もし、逆の立場だったら。……かすみんは、泣いてくれる?」
香澄「さあ」
真鍋「ぶ〜」
香澄「だって、ありえないもん。つかさがボクの事、完全に忘れるなんて。心配するだけムダだから」
真鍋「かすみん……。あーんっ、もう、かすみん愛してるーっ!」
香澄「わっ! や、やめろってば」

 香澄の首に手を回して抱きつく真鍋。

真鍋「えへへ。大好きだよ、かすみん。フェアリーガーデンに入って、
 かすみんと一緒にプロレス出来て、本当に良かった」

香澄「……ボクも」
真鍋「あたしは本当に、幸せ者なんだと思う。
 これ以上贅沢言っちゃいけないって、わかってる。でも、さ」

香澄「うん」
真鍋「本当は……ひぐっ……かすみんとずっと一緒に、リングに上がっていたいんだ。
 ずっとずっと一緒に……プロレスして、たかったっ……ひーんっ」

香澄「うん……」

 第7代WFGヘビー級王者
  "リングの子悪魔" サキュバス真鍋  12年目11月 引退

☆今月の成長
藤島 ボディスラム1→2
香澄 ドロップキック1→2
保科 脇固め5
金森↓1 神田↓1 渡辺↓1 朝比奈3 榎本↓2 滝4 成瀬3

 12月

香澄「……で」
真鍋「ん? な〜にぃ?」
香澄「なんでつかさがまだここにいるのさ」
真鍋「それはもちろん、かすみんと離れたくないから」
 ゴチンッ。

真鍋「いった〜いっ。もう、ひどいよ〜」
香澄「社長、どういう事なのっ」
社長「ああ。真鍋君には成瀬君の復帰(?)で空席になっていた広報担当についてもらう事になったんだ。
 彼女もウチに残りたいというし、キャラクター的にも適任かと思ってね」
真鍋「という訳で〜。これからもよろしくね、かすみんっ」
香澄「……ボクの涙を返してよ」

 〜

☆今月のイベント
軽症……渡辺
重症……榎本
完治……保科
写真集……渡辺
帰国……藤島
海外遠征……金井(AAC)

社長「どうした、成瀬君」
成瀬「いや、この役もつかさ先輩と交代なんかと思ってちょっとビクビクしてたんやけど」
社長「ハッハッハ。それはない(断言)」
成瀬「そ、そうなん? ほな、まあ安心や。
 ほんで今月は、ケガがひどなったあやっぺ先輩が休養、トモ先輩は療養がてら海外で撮影旅行。
 で、メインは帰国した瞳先輩のタイトル挑戦やね」

社長「失踪理由をハリウッドにスカウトされたから、なんて言ったもんだから、
 ちょっとした騒ぎになってしまったな。まあ、彼女らしいというか」
成瀬「少なくとも、タイトルマッチの注目度は上がったんちゃう。
 それで、入れ替わりで香澄先輩がAACに遠征や。今度はちゃんと公表したんやね」

社長「まあ二度目はさすがにな」
成瀬「海外かぁ。どんな感じなんやろ」
社長「実際藤島君は技の鋭さを増して帰ってきたからな。
 これからも短期だが交代で送り込んでいく事になるだろう。
 いずれは君にも機会が訪れるだろう」
成瀬「そっか。ちょっと楽しみやな」

 〜

☆WFGヘビー級タイトルマッチ
 "WFG世界王者" フェアリー保科 vs "無敵のアイドル" ハニービー藤島

海外遠征から帰国、気合十分の藤島であったが、
試合の主導権は保科がガッチリ握り、藤島ほとんど見せ場を作れず。
最後は保科が裏拳で藤島をぐらつかせると一気に飛びつき腕ひしぎ逆十字に捕らえ、
藤島無念のギブアップ。

  ○保科 vs 藤島× 21分7秒 飛びつき腕ひしぎ逆十字

 「フェアリー保科、2度目のタイトル防衛に成功」

 〜

藤島「…………」
 ズーン……。
成瀬「あ、あの、瞳先輩?」
藤島「……ごめん。今は話しかけないで」
成瀬(あの明るい瞳先輩がこんなにヘコむなんて……。
 まあ、そりゃあの試合内容なら、しゃあないか。
 それにしても保科姉、のほほんとした顔しながら、鬼のような強さやわ)

☆今月の成長
金井  ギロチンドロップ2→3
小縞  スクラップバスター3(上書き) ↑1
藤島  逆水平チョップ1→2
香澄  スリーパーホールド1→3
つばさ スリーパーホールド1→3
神田↓1 朝比奈2 榎本↓2 滝1 成瀬2

『プロレス大賞』
 新人賞……オーガ朝比奈

社長「今年はMVPは新女の武藤君に持っていかれたが、新人賞は朝比奈君が獲得したぞ」
朝比奈「ハッハー! まあ、これがオレ様の実力ってヤツだな」
成瀬「ちぇー。やっぱユウに持ってかれたかあ。
 ウチも結構力ついたつもりやったんやけどなぁ」

朝比奈「まあ唯もだいぶレスラーらしくなったと思うぜ。
 体が柔らかいだけでヒョロヒョロだった春頃に比べたらな。
 ま、それでもまだまだオレには及ばねえけどよ」

成瀬「はん、調子乗ってられるのも今の内やで。すぐに追いついたるわ」

朝比奈「……さっきはあんな事言ったけどさ。
 オレ、賞もらったり、誰かに褒められたりした事なかったんだよ。
 だから、アイツには悪いけど、すっげえ嬉しいんだ。この新人賞ってヤツ」

社長「元から持っていた物と今日まで培った物、
 それらを合わせて今年の新人では君が一番だったという事だ。
 それは十分に誇っていい事だと思うぞ」
朝比奈「そ、そうか? へへ、悪くない響きだな、一番って」
社長「これで成瀬君も、そして滝君もさらに気合が入った事だろう。次は」
朝比奈「どっちが先にベルトを獲るか、だな。
 アイツにゃ悪いが、もちろん負ける気はないぜ」

 1月

☆今月のイベント
映画……神田
写真集……神田、金森
完治……香澄
提携終了……AAC
海外提携……GWA
海外遠征……つばさ(TWWA)

成瀬「さっちん先輩とれーこ先輩が二人で写真集撮影や」
社長「出版社に二人のファンがいてね。
 昨年までリング上であれだけ激しくやり合っていた二人の、
 プライベートショットが撮りたかったそうだ。
 ファンからの反響もかなり大きかったようだな」
成瀬「また百合っぽいって言われるんちゃうか。
 あ、百合で思い出したけど、今年はベストスールはやらへんの?
 昨年までやってたんやろ」

社長「今年は引退者やケガ人が多いし、さらに二人が撮影で不在だからな。
 タッグ戦線はベルトを中心に盛り上がっているし、今年は中止にするつもりだ。
 来年あたり、君達の世代にもう少し自力がついたら、再開する事になるんじゃないかな」
成瀬「そっか。上の人と当たるんは楽しみやったんやけどな。
 でもまあ、確かに今のウチらじゃなんも出来へんような気もするし、しゃあないか」

☆今月の成長
金井  ドロップキック1→2
藤島  エルボー1→2
香澄  片逆エビ固め2→4
つばさ 片逆エビ固め4
金森↓2 神田↓3 朝比奈3 榎本↓2 

 〜

金森「撮影旅行楽しかったね、幸子」
神田「ああ」
金森「また一緒に行けるといいね」
神田「そうだな」
金森「……んもう。ちゃんと聞いてるの?」
神田「……麗子」
金森「なあに?」
神田「私は、お前と同期で良かったと思う」
金森「な、なに、急に」
神田「お前がいたから、ここまでやってこれた。負けたくないと思う相手が、すぐ隣にいたから。
だから最後も、お前と戦って終わりにしたいんだ」

金森「最後って……うそ……そんな、ヤダ……」
神田「…………」

 2月

☆今月のイベント
引退……神田「そろそろ引き際だと思います」
引退……榎本「もう疲れちゃいました〜…」
完治……渡辺、つばさ
重症……榎本

成瀬「……さっちん先輩とあやっぺ先輩、引退するんやって」
社長「ああ」
成瀬「半年も経たん内に3人も引退やなんて。寂しなるね」
社長「何度も立ち会ってはいるが、慣れる物ではないな」
成瀬「引退試合はどうすんの?」
社長「神田君は金森君とのシングルを希望している。彼女らしいな。
 榎本君は特にこだわりはないそうだから、前座で君達と戦ってもらうつもりだ。
 素質も体格も恵まれない中で立派なプロレスラーとなった彼女だ。
 試合を通して、色々学んでおくといい」
成瀬「うん。そうさしてもらうわ」
社長「今シリーズはタッグタイトルマッチも予定していたんだが、最終戦は避けた方が良さそうだな」

 〜

藤島「はあぁ〜」
金井「ひとみせ〜んぱいっ。まだ落ち込んでるの」
藤島「うるさいなぁ。ほっといてよもう」
金井「む〜。アイドルがそんな顔しちゃダメだって教えてくれたの、瞳先輩だよ。
 ファンのみんなが心配するから、笑顔でいなくっちゃ」

藤島「……そうよね。美加の言う通りだわ。
 それにしても泣き虫の美加にそんな事言われるなんてね」

金井「えへへ〜」
藤島「よーし。そんじゃまっ、手始めにタッグのベルトでも二人で取りに行きますかっ」
金井「お〜っ!」

 〜

☆WFGタッグタイトルマッチ
 アプリコットつばさ、マイトス香澄 組 vs ハニービー藤島、金井美加 組

 双方目まぐるしいタッチワークでスピーディーな試合展開となったが、
 タッグチームとして一日の長があるつばさ・香澄組が合体技を駆使し追い込んでいく。
 つばさのオレンジスプラッシュ100%はカウント2.9でクリアした藤島だが、
 さらに合体パイルドライバーを決められ、香澄が金井を場外に分断する間に
 つばさにガッチリ足を極められ、たまらずギブアップ。 

 ○つばさ、香澄 vs 金井、藤島× 51分59秒 片逆エビ固め

 「つばさ、香澄組 2度目の防衛成功」

 〜

金井「ふえぇ〜。負けちゃったぁ」
藤島「ゴメンね〜美加。でも、意外と美加とのコンビ、合ってるかも。
 もうちょっとこのまま組んでみよっか。
 次こそ私達アイドルコンビでナンバー1になって見せるわよ」

金井「うんっ。あたしも頑張る〜っ」

 〜

『榎本綾 引退試合』
 榎本綾 vs ミシェール滝


 序盤のチョップの打ち合いは互角だったが、徐々に経験の差が現れ始める。
 最後はスリーパーで滝のスタミナを削った榎本が、ショルダータックルで体ごとぶつかると、
 そのまま上に乗り3カウントを奪った。

 ○榎本 vs 滝× 12分31秒 ショルダータックル→体固め

滝「ああ、やはり私はまだ貴方には遠く及ばなかったようです」
榎本「ううん。翔子ちゃんカッコイイし、飛ぶ姿もすごいキレイだから、
 すぐにあやよりすごい選手になれるよ。あや、楽しみにしてるね」

滝「ありがとうございます。いつの日か、必ずやそのご期待に応えて見せましょう」

 〜試合後〜

榎本「あ〜あ。終わっちゃったぁ」
社長「お疲れ様、榎本君」
榎本「さみしいな〜。明日からみんなと一緒にいられないなんて」
成瀬「またいつでも遊びに来てえや。みんな待ってるで」
榎本「うんっ。唯ちゃん、ありがと〜」
???「綾ちゃんっ」
榎本「うん? あっ! ママ〜ッ!」
成瀬「うっそ、胸デカッ!?」
綾ママ「試合見たわよ、綾ちゃん。かわいらしいお洋服ね。
 それに、綾ちゃん強くなったのね。すごかったわ〜。ママビックリしちゃった」
榎本「わ〜い。ママに褒められた〜♪」
綾ママ「社長さん。今までこの子の事、ありがとうございました。
 たくさんご迷惑をおかけしたでしょう」
社長「いえいえ。榎本君は立派なプロレスラーでしたよ」

成瀬「……なあ社長」
社長「ん?」
成瀬「あやっぺ先輩のママさんの事、知ってたん?」
社長「ああ。入団時に挨拶に来た時に会ってるからな」
成瀬「あのママさん、市ヶ谷さんみたいなスタイルしとったな。
 ……なんであの爆裂ボディから、あんなお子様体型のあやっぺ先輩が産まれてきたんやろ」

社長「あまり深くは考えない方がいいぞ」

 〜

『神田幸子 引退試合』
 神田幸子 vs 金森麗子

 手数では金森が上回ったが、一撃の重さで徐々に追い込んでいく神田。
 ハリケーンフックからクレイジーハリケーンという往年のコンビネーションを決めた神田だが、
 金森フォールをカウント2.9で返すと、必殺ジャンピングボレーを叩き込む。
 全盛期のメインイベントを髣髴とさせる攻防に盛り上がる場内。
 最後は神田がもう一度クレイジーハリケーンを叩き込み金森を薙ぎ倒し、
 そのまま覆い被さり3カウントを奪った。

 ○神田 vs 金森× 24分23秒 クレイジーハリケーン→体固め

神田「フフッ。私の勝ちだな」
金森「もう。ズルいな〜幸子は。勝ち逃げなんて」
神田「……ありがとう、麗子」
金森「うん。……お疲れ様」

 〜

『引退セレモニー』

神田「拳ひとつで、ここまでやってくることができました…。
 ありがとうございました…」

 第5、11代WFGヘビー級王者
  "光速の拳" 神田幸子  12年目2月 引退

榎本「みんな!
 今まで応援ありがとね!」

 初代WFGタッグ王者
  "甘えん坊少女" 榎本綾  12年目2月 引退

☆今月の成長
金森↓1 渡辺↓1 朝比奈2 成瀬1 小縞7

 3月

☆今月のイベント
引退……金森
海外遠征……藤島(WWCA)



社長「金森君も引退か」
金森「うん。もう若くないし……グスン……。
 とか言ってる年じゃないし…グスン…」

社長「神田君も先月引退してしまったからな」
金森「引退する幸子に負けちゃうようじゃ、続けてても仕方ないかなって」
社長「そうか。時の流れは早いものだな、本当に。
 少し前までトップを張っていた君達がなあ。
 それで、引退試合の希望はあるかい?」
金森「聡美がいいな。あの子自身はアイドルレスラー路線しか
 考えてないみたいだけど、十分チャンピオンになれる素質は持ってると思うんだ。
 最後に何か、伝えてあげられたらなって思うの」

 〜

香澄「社長。次のWFGヘビー、本当にボクが挑戦者でいいの?」
社長「ああ。つばさ君を導きつつ2度のタッグベルト防衛。十分な挑戦資格だと思うぞ」
香澄「でも、ボクDリーグでは一つも勝てなかったし……」
社長「香澄君は半年前からまったく成長していないのかい?」
香澄「そ、そんなことないよっ。ボクだって」
社長「ならいいじゃないか。思い切ってぶつかってくるといい」
香澄「……うんっ。ありがとう、社長。ボク、頑張ってみるよ」

 〜

☆WFGヘビー級タイトルマッチ
 "WFG世界王者" フェアリー保科 vs "下町の元気娘" マイトス香澄

 序盤からグラウンドに引きずり込んだ保科、香澄に主導権を渡さず。
 執拗な脇固めで香澄の腕を殺し、最後は飛びつき腕ひしぎ逆十字でギブアップを奪った。

  ○保科 vs 香澄× 19分44秒 飛びつき腕ひしぎ逆十字

 「フェアリー保科、3度目のタイトル防衛に成功」

 〜

『金森麗子 引退試合』
 金森麗子 vs スカーレット小縞

 序盤は小縞の技を受け続けた金森。小縞が攻め疲れを見せた所で反撃に転じる。
 必殺ジャンピングボレーで蹴り倒すと、ノーザンライトスープレックス、
 さらにバックハンドショットまで叩き込むが(小縞HP0)、小縞根性でロープエスケープ。
 ここで小縞、雄叫びを上げ必殺スクラップバスター。
 金森を強烈にマットに叩きつけ、3カウントを奪った。

 ×金森 vs 小縞○ 18分10秒 スクラップバスター→体固め

小縞「勝った……勝ったーっ!」
金森「アイタタ……まさか本当に負けちゃうなんて、思ってなかったな」
小縞「麗子先輩……」
金森「聡美。貴方の受けの上手さとその底力。きっと大きな武器になるわ。
 貴方なら、いつか必ずチャンピオンになれる。がんばって、ね……ヒック」

小縞「は……はいっ。ありがとうございますっ……グスッ」

 〜

『引退セレモニー』

金森
「ふぇ〜ん……私……私……ヒクッ……
 私……バイバイ……
 ああぁ〜ん……」

 第3、6、10代WFGヘビー級王者、第2代WFGタッグ王者
  "リングのスウィーツ" 金森麗子  12年目3月 引退

☆今月の成長
金井  逆水平チョップ1→2
藤島  ハイキック6
香澄  アームバー(脇固め)5
つばさ 足四の字固め(アキレス腱固め)5
滝2 成瀬7 小縞1

〜時代を築いた選手達の、相次ぐ引退。
 そして春に訪れるであろう、幾多の新たな出会い。
 妖精達の庭園は、彩を変え、再び色づき始める……〜

※12年目総括

12年目成長評価値(12年目4月)評価値(13年目4月)能力値上昇増加技数
保科11601160--
藤島11101130-
香澄10501060-
金井10501060-
つばさ10301050-
小縞76094018-
渡辺1000890↓11-
朝比奈47063016-
48060012-
成瀬31056025-

※選手最盛期

 フェアリー保科

評価値年齢HP
116021400
攻撃
防御
投げ技関節技パワー技打撃技飛び技その他
合気投げ 1
(アームホイップ)
保科流裸絞め 2
(スリーパーホールド)
ショルダータックル 2 逆水平チョップ 2ドロップキック 1リング中央へ
コブラツイスト 3DDT 3 肘打ち 3
(エルボー)
ギロチンドロップ 2鉄柱攻撃
脇固め 5保科流天地返し 5
(STO)
掌底 4逆さ押さえ込み
飛びつき腕ひしぎ逆十字 6保科流真空落とし 7
(パワーボム)
裏拳 6ボディスロー
(必)
天国超特急 7

(ストレッチプラム)
保科流膝車 7
(ニーリフト)

 ハニービー藤島

評価値年齢HP
113021410
攻撃
防御
投げ技関節技パワー技打撃技飛び技その他
ボディスラム 2スリーパーホールド 1ショルダータックル 2 逆水平チョップ 2ドロップキック 2間合いを取る
フロントスープレックス 3ラリアート 3 エルボー 3ギロチンドロップ 3
ノーザンLスープレックス 4DDT 4 シャイニングウィザード 4ヒップアタック 5
ジャーマンスープレックス 6タイガードライバー 6 ハイキック 6京都西陣の舞 7
(ムーンサルトプレス)
ラストアンコール 8
(JOサイクロン)
NO.1アイドルスラム 8
(パワースラム)
(必)
ハニースラッシュ 8

(フライングニールキック)

ページトップへ

13年目

4月

☆今月のイベント
渡辺……重症
完治……藤島
新人テスト……村上千秋
新人スカウト……真壁那月
バカンス……滝
海外提携……EWA

社長「さて。年度も変わった事だし、今年は新人を募集しようと思う」
成瀬「4人も引退してもうて、寮もずいぶん寂しなったしな」

社長「まず、新人テストに合格したのが村上千秋君だ」
千秋「アタシを取った事、損はさせないぜ」
成瀬「なんや目つきのキッツイのが入ってきたな」
朝比奈「ふ〜ん。なかなか面白そうなヤツだな。気が合いそうだぜ」

社長「そして新人スカウトで入団したのが、真壁那月君だ」
真壁「よろしく。クールな戦いをお見せするわ」
成瀬「こらまたかわいらしいな。お人形さんみたいや」

社長「では、新人を交えて早速興行を、と行きたい所だが、今月は皆でバカンスに行こう」
成瀬「やたっ。社長ありがとー」
社長「君もそうだが、長い子では半年以上ケガを引きずっているからな。
 ここらで一度、しっかり治しておいた方がいいだろう。ゆっくり羽を伸ばすといい」

☆今月の成長
金井 ジャンピングニーパット5
小縞 パイルドライバー5
滝1

 5月

社長「どうだった、バカンスは」
成瀬「もー、最高やったわ。また行きたいなぁ」
社長「また1年頑張ってくれれば、連れて行ってあげるぞ」
成瀬「もちろんや。ゆっくり休んだおかげでケガも治ったし、
 今年もバリバリ行くでーっ!」

 〜

成瀬「ユウ。アンタ、千秋と反乱軍作ったってホンマなん?」
朝比奈「唯か。ああ、マジだ。バカンスの間にアイツと意気投合してよ。
 これからはお前とも、馴れ合ってられなくなるな」

成瀬「なんでや。何が不満なん?」
朝比奈「別に不満なんかねえさ。
 ただ、オレらがここで生き残ろうってんなら、いずれ必ず通る道だってだけだ」

成瀬「そんなことあらへんってっ」
朝比奈「あるんだよ。オレらには他の連中のような華がねえ。
 普通にやってたって埋もれちまうだけさ。
 ならせいぜい、生まれ持ったコワモテを利用してやるしかないだろ」

成瀬「そんなら、なんでウチも誘ってくれへんかったんやっ」
朝比奈「お前が反乱軍ってガラかよ。お前は本隊にいるのが一番似合ってるって」
成瀬「う〜っ。もうユウなんか知らんっ。勝手にすればええんやっ」
朝比奈「あっ、オイッ」

 〜

 ある日の早朝。
「千秋ーっ! テメエ、いるんだろっ。出て来いよっ」
 ドンドンと乱暴に玄関の扉を叩く音と少女の怒声が、田舎町の朝靄の中に響き渡る。
「ん〜。なんや、朝からうるっさいなぁ」
 唯は眠い目を擦りながら、窓を開けて外を見る。するとそこには。
「……千秋?」
 先日フェアリーガーデンに入団した、村上千秋にそっくりの少女がいた。
「……なあ、ユウ。起きてえや」
 唯は同期の朝比奈優香の部屋を訪ね、眠っている大柄な少女を揺り起こした。
「ん、ふあ……お、どうした、唯」
 優香はあくびをしながら唯の顔を見つめた。先日ケンカをしてしまいしばらく口をきいていなかったので、唯から話しかけてきた事に驚きを隠せないでいる。
「いや、あんな……窓の外、見てや」
 バツが悪そうにしながら、窓の外を指差す唯。優香が顔を出すと、
「……千秋?」
 自分と全く同じ反応をした優香に、唯は少し嬉しくなる。
「な。そっくりやろ」
「アイツ、また夜中抜け出して朝帰りかよ」
「せやったら玄関で大声出して叫ばんと、コソッと戻ってくるやろ」
 二人は顔を見合わせて首を捻ったが、答えは出てこない。ならばと優香は千秋の部屋を訪ねた。
「オイ、千秋。起きろって」
「……なんだよ。まだ起きる時間じゃねえだろ。もうちょっと寝かせろよ」
「玄関でお前とそっくりなヤツが騒いでるんだけどよ。姉妹か何かか?」
「ま、マジかよっ!?」
 優香の言葉に跳ね起きた千秋。窓の外に顔を出し、そして思わず天を仰ぐ。
「ゲッ。千春姉ちゃん。なんでここに……」
 と。その瞬間、玄関で騒いでいた千秋そっくりの少女がクルリと振り向き、千秋の顔を見据えた。
「ヤベッ、見つかったっ!」
 千秋が首を引っ込めるより早く、弾丸の様に飛んでくる少女。
「テメエ千秋っ! こんなとこで何してやがるっ!」
「うわっ。放せって、千春姉ちゃんっ」
 千春と呼ばれた少女は窓越しに千秋の襟首を掴み、ガクガク揺すっている。
「ったく、うるせえヤツだな。お前の姉さんか、千秋」
 優香が千春の頭に手を置くと、千春は優香にも牙を剥き出しに睨みつけてくる。
「んだテメエッ! テメエか、千秋をたぶらかしやがった野郎はっ! キンタマぶっ潰すぞっ!」
「……あ゛!?」
 ただでさえ寝起きは機嫌がよろしくない優香である。頭に置いていた手で千春のこめかみをむんずと掴み、そのまま握り潰さんばかりにギリギリと力を込める優香。
「ぐあっ! テメ、このクソ野郎ッ! 放しやがれっ!」
 しばらくジタバタ暴れていた千春だが、優香に片腕一本で窓の内側に強引に引っ張り込まれアイアンクロースラムの要領で床に叩きつけられると、そのまま失神してしまった。
「オ、オイ千春姉ちゃんっ! やりすぎだぜ、ヒナ姐さんっ」
「ん、ああ、悪い」
 バツが悪くなり頬を掻く優香。その姿を見て、唯は肩を震わせて笑いを堪えていた。

 〜

社長「……と言う訳で、ウチに入団する事になった村上千春君だ」
成瀬「……社長。どういう訳か全然わからへんのやけど」
社長「ああ。つまりだな」

千春「テメエ千秋っ! なんで新女のテスト、バックレやがったっ!」
千秋「だからアタシは最初から新女なんかイヤだって言ってただろっ!
 あんな堅っ苦しそうなとこより、ここの方が合ってんだよっ」

千春「ならなんでアタイも誘わねえんだよっ」
千秋「人の話聞かないで勝手に新女に書類送ったの、千春姉ちゃんだろうがっ。
 で? 案の定、テスト落ちたんだろ」

千春「う、うるせえっ。ぶっ殺すぞテメエッ」

社長「と、言う訳だ」
成瀬「要は新女のテストで弾かれたあの子を拾った、と。物好きやな〜社長も」
社長「ハハ。姉妹は一緒にいた方がいいだろう。なんとなく面白くなりそうな気もするしな」

 〜

社長「そしてもう一人。新人スカウトで入団した富沢レイ君だ」
富沢「富沢で〜す。ヨロシクッ。で、社長。さっそくだけど私のコスチュームってどんなの?」
社長「いや、まだ決めてないが」
富沢「じゃあじゃあ、私いくつか候補を決めてきたんだ。見て見てっ」
成瀬「ある意味、志望動機はあやっぺ先輩と同じなんやな」

☆今月のイベント
完治……渡辺、金井、成瀬、滝
映画……渡辺
写真集……渡辺
反乱軍……朝比奈、千秋
海外遠征……金井(WWCA)
新人テスト……村上千春
新人スカウト……富沢レイ

保科「聡美さん。私とタッグを組んでみませんか」
小縞「えっ。ええーっ!? 私が保科先輩とタッグ、ですか?」
保科「はい〜。香澄さんとつばさちゃん、瞳さんと美加ちゃんが、今タッグを組んでますでしょう。
 もう1チーム、ベルトを争うチームが欲しいと社長がおっしゃってまして〜」

小縞「で、でも、私なんかでいいんですか? まだほとんど技も持ってないのに」
保科「大丈夫ですよ〜。聡美さんはもう十分に自力はついていると思いますし〜。
 私もサポートしますから〜。良い経験になると思いますよ〜」

小縞(麗子先輩も言ってた。もっと上を狙ってみろって。今がその時、なのかな)
 「わ、わかりましたっ。私、やってみます。よろしくお願いしますっ」

保科「はい。では、がんばりましょうね〜」

 〜

☆WFGタッグタイトルマッチ
 マイトス香澄、アプリコットつばさ組 vs フェアリー保科、スカーレット小縞組

 保科に押し込まれダメージの大きかった香澄だが、
 必殺雷みこしで小縞を投げ飛ばすとつばさにタッチ、
 ここからつばさが空中殺法を駆使し大活躍。
 オレンジスプラッシュを小縞、保科にそれぞれ決めると、保科を4の字固めで攻め立てる。
 最後は保科の飛びつき腕ひしぎを耐え抜いた香澄が、フライングニールキックを小縞に叩き込み、
 つばさが保科を押さえ込む間に3カウントを奪った。

  ○香澄、つばさ vs 保科、小縞× 57分17秒 フライングニールキック→体固め

 「香澄、つばさ組 3度目の防衛に成功」

☆今月の成長
金井  泣き虫コンビネーション(掌底)7
つばさ 張り手(掌底)3
渡辺↓2 朝比奈1 滝2 成瀬2 小縞2

6月

☆今月のイベント
社長「先月の撮影旅行はどうだった?」
渡辺「うん。すっごい楽しかったぁ〜。またやりたいなっ」
社長「そうかそうか。それは良かった。じゃあ今月から」
渡辺「でも、ごめ〜ん。なんかもう無理みたい」
社長「お、おい。渡辺君」
渡辺「社長も薄々感づいていたでしょ。あたし、もう無理だって」
社長「……ああ」
渡辺「やっぱり〜。でも社長からは言わないんだよね。
 社長のそういうところ好きだな〜」

社長「お疲れ様、渡辺君」
渡辺「ありがとー。綾ちゃんもつかさも辞めちゃったから、
そろそろなのかな〜とは思ってたんだけどね〜。
あの二人より長く出来たのは……胸の差かな〜?」

 ブルンッ。
社長「ハハハ。じゃあ、引退試合はどうする?」
渡辺「あー、誤魔化したーっ。まあいいや。
 えっとね〜。おっきな会場がいい。関東がいいな。クラブいっぱいあるし」

社長「おいおい、まず場所なのか」
渡辺「だって最後だし、いっぱい目立った方が楽しいもん。
 それで、試合順は休憩後で、相手は〜……唯がいいかな〜」

社長「成瀬君かい?」
渡辺「そうそう。唯となら楽しい試合できそうだし。
 元々唯って、そういう試合の方が向いてるでしょ。今は余裕ないみたいだけど」

社長「わかった。なるべく希望に沿うようにしてみるよ」
渡辺「やった〜。社長、愛してるぅ」

 〜

☆今月のイベント
引退……渡辺
軽症……富沢
千春……反乱軍入り

社長「先月入団した千春君が早速反乱軍入り、富沢君はいきなりケガか」
成瀬「いきなり前途多難やねえ」
社長「全くだ。今まではアイドル団体と言われていたように、素直な子が多かったからね。
 これからは色々と忙しくなりそうだよ。フフ」
成瀬「そう言う割に嬉しそうやで、社長」

社長「今月のWFGヘビー、挑戦者は金井君で行こうと思う」
金井「ふぇ? あたしでいいの?」
社長「ああ。持ち技も揃ってきたし、今が一番充実してるんじゃないか」
金井「そ、そうかな〜。えへへ。
 ひとみ先輩やかすみちゃんが何も出来ずに負けちゃったの見てるから、
 ちょっと怖いけど、でも頑張ってみるね」

 智美の希望通り、関東中心の巡業となった6月シリーズ中のある夜。
夜中にホテルを抜け出し、一人繁華街へ繰り出した智美は、渋滞に捕まっている大通りのタクシーの中にふと見覚えある人影を見つけて、思わず駆け寄り窓をノックした。
「社長〜」
「ん? 渡辺君か。オイオイ、こんな時間に何をしてるんだ」
「へへ〜。これから踊りに行くの。社長は?」
「ああ。プロモーターとの会合が終わって、これからホテルへ帰るところだ。しかし、君を見掛けた以上、このまま行かせる訳にはいかないな」
「大丈夫だってば。もう子供じゃないんだから。……あっ、そうだ。じゃあ社長も一緒に行こうよ。あたしの監視役って事で。ねっ?」
 開いたタクシーの窓から社長の手を取りギュッと両手で抱く智美。社長は苦笑するしかなかった。

 こちらへ巡業に来た際の行きつけのクラブへ、社長と連れ立って来た智美。一緒に踊ろうと腕を引っ張るも、社長は笑いながらもカウンターの席から動こうとしない。
「じゃあじゃあ、あたしの踊り、しっかり見ててね」
 智美は大胆にもボディコンに着替えると、ステージの一段高い所に上り、曲に合わせてリズムを取り始める。そして智美は、一心に踊り狂う。情熱的なビートに乗り、社長を熱い眼差しで見つめ、大胆に腰を振り体をくねらせながら。それは智美が一人で踊りに来る時とは少々異なるチョイスであった。
 何曲か踊り終え、心地良い疲労を感じながら、智美は社長の隣に腰を下ろす。
「どうだった? あたしの踊り」
「ビックリしたよ。普段とは別人だな」
「へへ〜。グッときた?」
「どうかな」
「またまた、照れちゃって。このこの〜」
 社長をツンツンと突付くと、智美はその肩にしなだれかかる。そして体を寄せながら上目遣いに社長を見上げる。しかし、社長はどこか遠くを見るような目をしながら、グラスの中の琥珀色の液体を見つめていた。なぜか智美は、胸がギュッと締め付けられるような気がした。

「マスター。もういっぱいちょ〜だい」
 頬を紅く染め、智美が空になったグラスを持ち上げて言う。
「おいおい。飲みすぎだぞ、渡辺君」
 社長がたしなめるが、智美の耳にはその言葉も心地良い音としか届かない。智美は社長にしなだれかかったまま、社長の手を取り、自分の髪に絡ませた。
「えへへ〜。社長の手、おっきいんだね」
「何を言ってるんだ。ほら、もう行くぞ」
 智美の腕を取り立ち上がらせようとした社長だが、かなりアルコールが回ってしまった智美はまともに立つ事ができなかった。
「社長〜。あたしもう歩けな〜い。どこかに泊まろ」
「そんな訳にいかないだろ。ほら、行くぞ」
「いいの〜。最後くらいあたしのワガママ聞いてくれたっていいじゃな〜い」
 智美は両手を社長の首に回し、ぶら下がりながら言う。
「ああもう、仕方ないな。明日霧子君になんて言えばいいんだ」
「やった〜。社長、愛してるぅ〜っ」
 智美は冗談めかしてそう言いながら、社長の胸に顔を埋めた。社長はヒョイと智美を抱き上げると、よろけもせずに歩いていく。
「えへへ。お姫様抱っこだって〜。ウソみた〜い」
 智美は社長の胸の中で瞳を閉じ、その心地良い揺れを楽しむ。そしていつの間にか、その意識は闇に溶けていった。

「ん〜……あいたたぁ……」
 こめかみにズキズキと鈍い痛みを感じ、智美は目を開いた。そこは、ホテルの一室。しかし、その傍らに社長の姿はない。
「あれぇ……社長、どこ〜?……」
 返事はない。と、カチャリと扉が開く音がした。
「お。目ぇ覚めたんやな、トモ先輩」
 寝転がったまま視線を動かした智美の視界に移ったのは、バスルームのドアを開いて顔を出した唯だった。
「大丈夫なん、トモ先輩。昨日へべれけになって社長におぶさって帰ってきたんやって?」
 言いながら、唯は智美の額に濡れタオルを置く。ひんやりして気持ちいい。
「ねえ、唯〜」
「ん? なに?」
 智美は両手を伸ばすと、唯の両頬に優しく触れ。そして、ムニッとつねった。
「にゃ、にゃにしゅんねんっ」
「なにこのやわらかいほっぺた。むかつくぅ〜」
 唯の抗議の声を無視し、智美は唯の頬をムニムニとつねりながら大笑いする。
あまりに笑いすぎて、目尻にはうっすらと滴が浮かんでいた。
「も、もう放ひてぇや。ほっぺた伸びるぅ〜」  

『渡辺智美 引退試合』
 渡辺智美 vs 成瀬唯

 手数は繰り出すもののあまりにも技が軽い成瀬。
 グラウンド勝負でジワジワとスタミナを削られていく。
 それでも必殺ドラゴンスクリュー2連発を見せ、観客を沸かせて見せたが、
 最後は渡辺がジュリアロックできっちりギブアップを奪ってみせた。

 ○渡辺 vs 成瀬× 25分50秒 ジュリアロック

☆WFGヘビー級タイトルマッチ
 "WFG世界王者" フェアリー保科 vs "泣き虫ファイター" 金井美加

 序盤を手数で圧倒した保科。金井も中盤、重い一発一発で徐々に流れを引き戻しかけたが、
 保科のコブラツイストがガッチリ入りたまらずギブアップした。

 ○保科 vs 金井× 20分18秒 コブラツイスト

 「フェアリー保科、4度目のタイトル防衛に成功」

『引退セレモニー』

渡辺「あたしはリングを下りるけど
 とっても楽しかったよー!
 ありがとーッ!」

 〜興行終了後〜

渡辺「あ〜、楽しかったな〜」
成瀬「お疲れさん、トモ先輩」
渡辺「ありがとー。あーあ、もうあんな大勢の前で目立てる事なんて、無いんだろうな〜」
成瀬「トモ先輩はこれからどうすんの?」
渡辺「ん〜? まだ決めてないや。社長はここに残ってスタッフとして働かないかって言ってくれてるし、
 なんならりんごテレビのプロデューサーさんに紹介もしてくれるって」

成瀬「せやったら、残ったらいいやん。トモ先輩いなくなったら寂しなるし。
 れーこ先輩やさっちん先輩みたいにジムのインストラクターって柄でもないやろ?」

渡辺「もーっ、唯はかわいいな〜」
 ムギューッ。
成瀬「な、なんやの。ウチはそっちの気はないで」
渡辺「残ってもいいけど、裏方だったら今までみたいに目立てないしな〜。
 それに、芽も無さそうだし」

成瀬「芽って、なんの?」
渡辺「ん〜? ナイショ。
 でも、そっかぁ。優希センパイとかすみんセンパイは別にして、
 これで唯、じゃなくて唯センパイの全盛期を知ってる子は、ココにはいなくなる訳だ」

成瀬「へ?」
渡辺「ねえ唯、知ってる? あたしね〜、ここにはある人に憧れて入ったんだ」
成瀬「そうやったん? 全然知らんかったわ」
渡辺「その人はね〜。そこまで強いわけでもないんだ。
 でも試合がいっつも楽しくってさ。
 その人の試合が始まると、お客さんの視線がバーッとその人に集中して。
 試合が終わると、みんな笑顔になるの。たとえ負けちゃってもね」

成瀬「へえぇ」
渡辺「その人の試合を見て、思ったんだ。
 メチャクチャ強くなくっても、注目される事は出来るんだ。
 みんなに楽しんでもらえるんだって。
 だからあたし、ここに入ったんだ」

成瀬「そんな人がおったんや。ウチも会ってみたいな」
渡辺「…………プッ」
成瀬「な、なんや。なんで笑うん?」
渡辺「あはっ。なんでもな〜い。
 唯さ。今すっごい頑張ってるじゃん。体作る為に」

成瀬「どうなんやろ。自分ではあんまわからへんけど」
渡辺「この一年でさ、すっごい体力ついたと思うよ。
 だって去年とか、ヒョロヒョロだったもん。
 それがほら、今はこんなに、むにむに」

 ムニムニ。
成瀬「ちょっ、どこ触っとんねん」
渡辺「このまま頑張れば、唯はすっごい強くなると思うよ。
 今の優希センパイみたいになれるんじゃないかな」

成瀬「ほ、ほんま?」
渡辺「うん。……でもさ。唯には強さだけを追い求めてほしくないんだよね。
 楽しいプロレスを忘れて欲しくないっていうか。
 今日あたしと試合して、どうだった?」

成瀬「えっ。そやな。めっちゃ楽しかったし、お客さんのウケも良くて気分良かったわ。
 でもそれは、トモ先輩に引っ張ってもらったから」

渡辺「ちがうんだな〜。あたしも唯が相手だから、あの試合ができたんだよ」
成瀬「そんな、大げさやって」
渡辺「ん〜。まあ、今はいっか。わかんなくても。
 とにかくさ。まだ余裕無いだろうけど、今日のプロレス、忘れないでほしいんだ、唯には」

成瀬「う、うん。……わかった。胸に刻んでおくわ」
渡辺「よしっ。
 あ〜、もう、唯はかわいいなぁ。ご褒美あげちゃうっ」

 チュッ♥
成瀬「うわわっ、な、何すんねんなっ!?」
渡辺「へへ〜。間接キッスってヤツ?」
成瀬「何がやねんっ。うわー、ウチ初めてやったのに、女に奪われるなんて……」
渡辺「あれ? まだだったの?
 あ、それとも、昔の事忘れてるだけか〜」

成瀬「わーんっ! もう、返してや、ウチのファーストキスーッ!」
 ポカポカッ。
渡辺「アハハハハッ」


渡辺(唯センパイは、レスラー人生に悔いが残ってたんだよね。
 でも、その唯センパイを見てプロレスラーになった、あたしみたいなのもいるんだよ。
 だから今度は、あたしが見守ってあげたいな。
 唯が今度こそ、悔いを残さずに済むように、だけじゃなくて。
 あたしが大好きだった唯センパイが、唯の中からいなくならないように)


 第8代WFGヘビー級王者
  "踊る女子プロレスラー" 渡辺智美  13年目6月 引退

☆今月の成長
香澄……花やしきロック(ドラゴンスリーパー)7
富沢1 朝比奈5 滝2 成瀬4 千春1 千秋1 真壁1 金井1 小縞2


続く


ページトップへ

応援ぺえじトップへ