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NOVEL

Un tournesol 〜深まる欲情?愛情?友情?〜
おまけ

注意) 特になし

「……ところでさ、このまま友達関係ってー事は、これから先、セックスはなしって事だよな?」

 蒼衣が温め直した飯を食い終わった後、蒼衣が淹れた熱い茶を啜りながら聞いてみる。
 すると蒼衣は、あっ、と呟いて、おろおろとし始めた。

「へ? え、えと……、あ、そ、そうなっちゃうよね……。……そうか、……そうだよね……。エッチ、なしだよね……。……エッチ、なしかぁ……そうだよね……そうかぁ……。」

 一応、俺の言葉に頷いては見せるが、明らかに蒼衣は残念そうに、後悔しているようにずっとぶつぶつと小さく口の中で、エッチはなしかぁ……でも友達だから、仕方ないよね……、と言い続けていた。
 その反応が凄く可愛くて、面白くて、解りやすくて俺は笑いを抑えることが出来ない。
 プッと噴出し、手に持っていた湯飲みをテーブルに戻すと腹を抱えてゲラゲラと笑う。

「え? え?! 何?! なんで笑うの?!」

 俺が爆笑している理由が解らず、蒼衣は疑問符を大量につけながら慌てるように驚いたようにおろおろとした。

「や、だって、お前……っ、セックスなしっての、めちゃ残念そうにしてっから……っ。」

 それがまた可笑しく俺は更に腹を抱えて笑う。
 すると、蒼衣の顔が見る見る怒っているような、拗ねているようなものに変わっていく。

「もぅ、なんだよっ! じゃあ、直輝くんは、エッチなくて平気なの?!」

 逆ギレして蒼衣は俺にそう食ってかかってきやがった。
 それに俺はくつくつと笑いながら、体を起こすと蒼衣の肩に手を回す。そして、蒼衣に顔を近づけると口を開いた。

「……そりゃー勿論、俺は平気だぜ? 元々、俺それ程性欲ねーから。つか、今までのオンナともそれが原因で別れてっしなー。」
「へ? え? そ、そうなの……? 性欲、ないの……?」

 まさか俺が平気だというとは思わなかったのだろう。
 蒼衣は俺の言葉に、出鼻を挫かれたようなポカンとした顔をすると、俺の顔をまじまじと見る。その蒼衣の顔にはありありと俺の言葉が信じられないと書いてあり、蒼衣が俺のことをどう思っているのかが解った。

「そ、あんまねーの。つーか、セックスすんのどっちかっつーとメンドクセェって感じるタイプ。」
「え……、で、でも、直輝くん……、夕べは……、それに、さっき……僕だと……てっ。」

 更に俺が追加でそう言うと、蒼衣は俺がさっき蒼衣に向けて言った言葉をどうやら頭の中で反芻したらしい。
 言いかけて、ボッと火がつくようにその顔を真っ赤にした。
 そんな蒼衣が可愛くて俺はまた小さく笑う。そして、肩に回した手に力を込め、蒼衣をその場に押し倒した。

「わわっ、直輝く……っ?!」
「蒼衣、セックス、しよーか?」
「へぁっ?!」

 驚き俺の下でじたばたと暴れる蒼衣の上に乗っかり、その動きを封じると、俺は体を折り曲げて蒼衣の耳に囁く。
 それに蒼衣は裏返った悲鳴のような、奇妙な声を挙げた。

「友達だからって、セックスしてーって欲求、我慢する必要ねーんじゃね? すでにシまくってんだし、それに、俺ら、恋人になる事前提に友達付き合いしてんだろ?」

 我ながらなんて都合のいい事を言ってるんだ、と思う。しかもさっき蒼衣が俺に言った言葉を、都合よく利用して改変して、そういい加減な事を蒼衣の耳に吹き込む。
 真面目な蒼衣がそれに簡単に頷くとは思わなかったが、それでもからかい半分、本気半分で蒼衣に判断を求めた。

「…………。」

 流石に蒼衣は俺の言い分に絶句しているようだった。
 ポカンとした顔で俺を見上げ、どう返事をしていいものか迷っている。
 そんな蒼衣に、俺はにやりと悪戯っぽく笑うと、無防備な蒼衣の耳たぶをペロリと舐めた。

「ひゃっ!?」

 ビクン、と体を竦め、耳から与えられた感覚に蒼衣は驚きの声を漏らす。
 その声を聞きながら俺は、耳たぶを口に含み、強く吸った。

「ひぁ……ぁ、くぅ……んっ。」

 はむはむと甘く噛むと、蒼衣の体がびくびくと小さく痙攣を起こし、その口からは甘い声が小さく零れる。
 たったこれだけの事で蒼衣の体からは力が抜け、もうすでに俺にお任せモードになっているのが判った。

「ほら、どうすんだ? 早くヤるのかヤらねーのか決めねーと、これ止めるぞー。耳、気持ちイイんだろ?」
「っ……あ、ぁあっ! ……やっ、ヤダッ……! ……ん、す、する……っ、直輝くんと、エッチ、する……っ、したい……っ。」

 耳の中に舌を挿しいれ、ぺろぺろと舐めたり、舌を出し入れすると蒼衣の喉から感極まった声が漏れた。そして、俺の止める宣言に、慌てたように蒼衣は俺の首に腕を絡ませる。
 そして、蒼衣はとうとう俺の目論見どおり、俺の勝手で都合のいい言葉に頷いた。
 快楽に弱い蒼衣がこんな事をされて俺を拒絶するとは全く思ってはなかったので、我ながら卑怯な手を使ったな、と思う。
 だがこうでもしないと、蒼衣は律儀にまた“友達”って関係に縛られて、俺とセックスしたいのを我慢し、自分を責めるくらいまで追い込んで爆発させそうな気がしたのだ。
 だからこそ、俺からこう言い出して、それに無理矢理頷かされた形なら、蒼衣は自分を責める必要はなくなる。そうなれば、蒼衣はセックスしたいと思えば俺に気兼ねなく俺に迫れるだろう。
 ま、当然俺としても、蒼衣とセックス出来なくなっては欲求不満になっちまう。だからこれは自分自身の為でもあった。
 勿論、蒼衣にさっき言った、性欲がないって言葉は嘘じゃねぇ。
 蒼衣じゃねぇ奴には、本当に今までまともにセックスしてぇって思ったこと自体ほとんどない。今までは付き合ってる体面上、相手に求められるから応えてただけだ。
 ただ。
 蒼衣にだけは、何故か滅茶苦茶性欲を掻き立てられる。
 そう、あの日、蒼衣を始めて抱いた日から、ずっと。
 実を言えば、いつだって俺は蒼衣を抱きたかった。最近のズリネタは、もっぱら蒼衣の痴態だったし。
 ま、この事は蒼衣には当分ヒミツだ。
 俺の下で可愛く啼く蒼衣に、愛撫を加えながら俺はひっそりと笑った。

「――これからも、仲良くしよーぜ、蒼衣。」

 色んな意味を込めてその言葉を蒼衣の耳に囁く。
 蒼衣は、俺の言葉に赤く染めたその顔を俺に向けると、肯定の意味で俺に熱っぽく唇を重ねて来た。

「深まる欲情愛情友情? おまけ」 終