痴漢は恋のキューピッド?! ** 終 **
今、慧の唇が、自分に触れている。 ……しかも、間違いなく、彼自身の意志で。 一体、どれほどこの瞬間を夢見た事だろう。山野の理性は湯を浴びた氷の如く、見る間に融け落ちていく。 顎に力を添えて、口を開かせ、ゆっくりと舌を重ね、唾液を吸いながら舐め始める。戸惑いながらも、震える瞼を閉じて、されるがままになる慧をそっ、とベッドに横たえた。 何度も夢見たキスを繰り返す。浅く、深く。柔らかく色の明るい髪を梳き上げ、額や目、鼻を軽く食んで。身体中、余す所が無いほど、全てに口付けたい。 そのまま耳へと移り、首筋へと唇を滑らせながら、指は胸の突起へと這わせた。微かに息を上げながら、慧が甘いような吐息を漏らしている。 爪の先でツン、と弾くように小さな先端を刺激すると、慧が小さく息を飲んだ。初手からこの反応だ。相当感じ易いらしいのに感謝をする様な思いで、その小さな突起に唇を近づける。淡いようなベージュのそれは愛撫を重ねれば、色素沈着を起こしてしまうだろう。 「慧のこれ……可愛がりすぎたら多分茶色くなっちゃうな。でも……我慢出来ないし……。黒光りしても色っぽいかも。なあ、慧。そうなるまで可愛がっちゃっていい?」 少し卑猥な台詞を囁けば、慧が益々顔を染め、イヤイヤと頭を横に振る。 「どうして?」 上の歯と舌先で擦るように突起を刺激し続けながら、山野は意地悪く追求する。 「だって……そんな……いやらし……のや……っ、 あっ……山野……さん……あっ」 慧は白く滑らかな頤を仰け反らせながら、びくびくと身を小刻みに震わせる。その動作は、突起の刺激で明らかな悦楽が生じ始めたのを、表していた。 「ここ、弄られるのが大好きって証拠になるのに?」 丹念にクニクニと片側の乳首を指先で潰すようにしながら、もう一方の先端は軽く歯で挟み、舌で細かく弾いて嬲る。それらを続けながら卑猥な言葉で追い詰める。 「あっ、あふっ……やあ……っこれ……やあん…ぁんっ」 高い音域の嬌声が上がり始めたのに内心でほくそ笑み、山野は慧の下着を下ろしながら陰部へと掌を被せる。予測通り、そこは既に天を衝き、先走りでぐっしょりと濡れそぼっていた。 愛らしくスンナリとした象牙細工の様な茎がプルプルと細かく震えている。先の丸みはとても綺麗に露出していた。歳相応に自分で慰める事や処置も知っていたのだろう。 とは言え、酷く敏感そうな、粘膜と言って良い程の先端から絶え間なく蜜が零れ落ちている。嵩高い部分から指の先で掻くようにして括れ側から上の小さな穴へと辿れば、しゃくるような悲鳴が上がった。 「ひゃうっ、やっ、やーあっ、ぁんっ」 「慧、怖くない。大丈夫だ。恥ずかしくもない。気持ちいいって証拠だぞ。イヤじゃなくて、イイ時にはイイって教えて。な? 俺も……嬉しくて、もうこんなになってる」 言いながら、山野も自身の半ば隆起を示しだした分身を、太腿にこすりつける様にして知らせた。 「な? 俺も興奮してる。お前だけがおかしいんじゃないぞ、慧」 落ち着いた口調で言えば、慧は安堵したように、こっくりと頷き、瞳を閉じて山野の情熱的なキスを素直に受け入れた。舌を追い、絡ませ、上あごをねぶり、唾液を丹念に啜る。 その素直な受け入れぶりすらも、どこか酷く淫らな妄想を掻き立てて止まない。山野は内心の舌打ちを噛み殺しつつ、慧の頬を包み込み、唇を大きく開かせて、舌を出させた。 それを唇で挟み込み、扱きながら舐めれば、慧もそろり、と山野の舌を突っつくようにして舐め返す。たどたどしく淡いが、その反応だけでも酷く嬉しいハプニングだった。 「慧。キス、好きか? 舐めるキス、好き?気持ちいい?」 しゃぶる合間に聞けば、唾液がすっ、と、慧の顎を走った。それを指の背でかき集め、零れたものをチロリと舌先で舐め取りながら「好き、全部気持ちいい」と漏らす。 「僕、おかしいのかも。い……淫乱……とかなの……かな。山野さん、こんな……の……いや?」 凶悪な程の媚態に加え、可愛い言葉を囁かれると、メロメロに蕩かされてしまう。それすらも嬉しくてならない。 「慧。こんな事、俺以外とはもう2度としないって約束してくれるか? 俺もしないから」 慧の花茎の嵩高い部分から先端にかけ、上下に指でキュッと挟み込む。早くも開閉を始めた先端の入口を指先でクイ、と開けるようにして、乳首と同じく円を描きながら抉る様な愛撫を施す。慧の腰が、牡の本能で刺激を求め、僅かにヒクヒクと動き始めた。 「約束……します……こんなっ……山野さんとじゃないと……いやぁ……あぁん……っ」 啜り泣く様な声で訴えられる。無意識であろう、腰の動きが益々可愛くてならない。 「慧……腰振ってるの解る? 男の子だしな。気持ちいいか? 出しちゃいたい?」 可愛がりたい……なのに酷くしてしまいたいと言う誘惑を必死に山野は噛み殺しながら、先端を撫でる指先に、僅かな力を入れる。そのまま、開閉している口を抉るようにした。 「っ……もう……だめっあっ、ああ、山野さん、出っる、出ちゃうぅー」 切羽詰った声を聞いた途端、山野は誘惑に抗えず、思わずぎゅっ、と根元を戒める。 「やっ、やーっ、な……んで……ねえ、山野さぁん……」 困惑しきった表情でせがむ慧の頬に、チュッと軽く口付けを送る。 「慧。少しだけ我慢して。もっと気持ちよくなって出せるように……するから」 言うなり、山野は慧の分身から手をはずした。素早く、先が尖った形のローションをひっくり返し、中の粘液を搾り出して、掌で温める。無意識らしく自分の屹立へ手をやろうとする慧を目線で咎めた。 挿入を伴ってからの解放へと導こうとしている山野の思惑を、慧も察したらしい。予測される破瓜の痛みに怯えている風情が、酷く、痛々しい。 それでも唇を噛み締め、シーツをギュッと掴んで、必死に慧は耐えている。せめて気を紛らわせられればと、唇の粘膜を触れさせるキスで慧の唇を食みながら、片方の掌でこれから繋がる最奥を包み込んだ。 窄まりの手前を指でなぞれば甘い吐息が漏れる。粘液をゆっくりと塗りつけながら、少しでも怯えを官能にすり替えようと、山野は一層丁寧に慧の口腔を舐めしゃぶった。 しかし分身の解放は許さない。焦れたらしい慧が、無意識に膝頭を一際開いた隙を逃さず、蕾の外周をゆっくりと指で撫で回す。 腰の下に枕を素早く差し入れ、局所を目の前に浮かせて、蕾の入口にそっと片方の指先をあてがった。根元は相変わらず、戒めたままだ。 ベッドヘッドの白熱灯の灯りの中に、慧の秘部がくっきりと浮き上がる。練り絹のような白い太腿の付け根に淡い下生えが密かに息づいている。その薄い茂みの中で、持ち主に良く似たすんなりとした風情の屹立はふるふると震えていた。 存在だけならば、いっそ清楚なほどの花茎は、先端の口からトロトロとひっきりなしに淫らな蜜を吹き零している。零れ落ちた蜜は、奥の蕾までを濡らし、ツヤツヤとした輝きで、これから受け入れる牡を誘惑している様にすら見える。 蜜液の通った筋が幾つも残る可憐な丸みの下には、山野の指で溶かされ始めた愛らしい窄まりがひっそりと静まっている。僅かに膨らんでいるその蕾も、胸と同じく、つつましやかな淡いベージュなのが好ましい。 その淡い色の蕾がいずれ淫蕩に蕩け、粘液に塗れて自身をきつく銜え込む事を想像するだけで、山野の滾りからも、じわり、と滴が滲み出た。 見た目の可憐さと淫靡さを堪能しながら、緩みの見えぬ入口に指を捻る様に、じわじわと含ませていく。内部は少し緩んでいたのか、軽く力を入れただけで、プチュン、と粘った水音を立て、蕾は侵入者を飲み込んだ。すっかり安堵しているのか、案外抵抗はない。 内心でホッと息をつきながら、そのまま第2関節までを入れ、微かに指を出し入れして摩擦の具合を試みる。粘液と内部が馴染んだ辺りで指を鍵に曲げ、左右に回した。すぐに探していた部分は見つかり、ぐっ、と指の腹に力を入れ、擦り上げた途端。 「あっ、あ……あっ、やま……のさっ……それ、なに……あっ、あぁっ」 ビクビクと腰を揺らしながら慧が明らかな嬌声を上げる。しかし根元を戒めているため、急に催した筈の放出が伴わず、焦れたような声を漏らし始める。 「やっ、やだ、ねえ、山野さぁん……あっ、あんっ」 むずかるような声で無意識に強請る慧に山野は囁いた。 「出したい? 慧」 山野の言葉にこくこく、と激しく頷く慧に、少し過酷な提案をする。 「なあ、慧。俺と一緒にイケるように練習しながら出してみよっか。それ、出来たら後も凄く気持ちいいぞ。少し辛いかもだけど、痛くないようにするから。我慢出来る?」 山野の分身を受け入れながら頂点を刻むための行為。その言葉の趣旨を理解した慧の瞳が、ふわり、と嬉しそうに微笑む。見れば額にはうっすらと汗が浮き、頬は快楽と羞恥で逆上せたように赤く染まっている。 「おし……えて下さい……山野さんと一緒に……気持ちよく……なれたら……っあっ、うれ……しい……あっ、ぁ……」 艶めいた風情からは思いもつかぬほど純真で健気な慧の言葉に、山野の分身は一層下着の中で滾りを増した。どうやら我慢を強いられるのは慧だけではないようだ。 ひっきりなしに溢れる慧の粘液には早くも白いものが混じり始めている。しかし山野は冷徹に、そして着実に慧の奥を拡張しながら、前立腺と、前部を刺激する事に集中した。 緩み始めた襞の様子を察し、2本目をゆっくりと挿入して、再びぐるり、と中をかき回す。気長に馴染ませれば増えた体積に抵抗を見せず、まだ緩む気配を察知し、3本目を入れた。指を左右に回しながら、縦にも出し入れを始めた途端、慧がヒクリと喉を震わせる。 そのまま動かし続けると、しゃくるような喘ぎが漏れ始めた。これならば、山野自身を入れても、結構、良い反応が期待出来る。 しかし、今は慧の快感が最優先だ。集中的な前立腺マッサージと、先端をくじるようにして指先で施される二重の快楽に、慧は翻弄されている。息の上がった呼吸に、時折切羽詰ったような悲鳴のような喘ぎが滲み始めた。 緩急のついた刺激を先端に続けながら茎の部分も掻くようにしてやる。同時に奥も強めにマッサージを施しついでに、愛らしく丸い袋も揉み込む。内部の襞が激しくうねり始めた頃を見計らい、戒めていた根元を緩めれば、慧は激しく腰を振りながら白濁を放った。 「そっ、それぇっ、あっ、ぁんっ、いっ、いいーぃ、いあーぁっ」 喉奥から搾り出すような嬌声に従い、慧の内部が酷いほどの力でキュウキュウと山野の指を食い締める。同時に奥の襞からはしゃぶるような細かな痙攣が起きた。 可憐な花茎からは間歇的に白濁が噴出し、ポタポタと音を立て、シーツに零れ落ちる。 「ああ……慧。後ろも気持ちよかった? ほら。白いのが一杯出てるよ。それに中もヒクヒクしてる」 「あっ、やま……のさぁ、だっ、めっ、そっれ、やっ、あっ、あんっ」 襞の痙攣に同調したリズムで、再び敏感な部分を抉るようにして擦れば、すんなりとした花茎は、再び芯を持った。 「ふふ、や、じゃないって言ったろう? さっきはちゃんと言えたのに。……慧……また元気になってる。気持ちいい?」 囁くようにして聞けば、潤んだ目で、きっ、と振り返り様、睨まれる。 「ひどっ……い……僕だけ……なんて……っ山野さんも一緒って、言ったのにぃ……」 一度得た絶頂の余韻で荒いままの吐息を漏らしながら、こんなお強請りが飛んでくるとは。しかも、恨み言を言いながらも後ろの襞はリズミカルに指を食んでいる。 その上に慧の分身は見る間に回復を示し、襞の動きに連動するかの如く、フルフルと可憐に震えている。まるで誘われるかのようなその光景に、山野の辛抱も限界だった。 「……慧……っくそ……痛かったら言えよ」 片手でベルトをもどかしく外し、スラックスごと下着を膝まで落として、枕もとのスキンを素早く着ける。ローションを腋に挟んで水音も高らかに搾り出し、自身を扱き上げながらたっぷりと塗す。慧の内部に残した指を開くように馴染ませながら、そこへも粘液を絞り込んだ。 うつ伏せの体勢を取らせ、腰を高く持ち上げて指を引き抜きざま、滾った山野の先端をぐい、と潜り込ませる。一度頂点を極め、慧も多少はリラックスできていたらしい。案外スムーズに挿入は叶い、結合を示す、粘った水音がチュプチュプと淫靡な呟きを漏らし始める。 「っあ、あ……っ……やまの……さぁん……山野さっ……ああ……くるぅ」 あえかな甘い声で嬉しげに慧が名を連呼するのが堪らない。必死に息を吐き、何とか入口を緩めようと努力しているのが伺われた。それすらも、山野には刺激になってしまう。 「っ慧、そんな……刺激すんな」 「だっ、て……山野さ、ん……興奮し、てくれて、る……うれ……し……っ」 キュッ、と無意識らしく入口を狭めるのを感じれば、かなり我慢を重ねていた山野は不覚にも漏らしてしまいそうになる。奥歯を食いしばって堪え、軽く根元を自分で戒めながら、じりじりと隘路を進めた。 「痛く……ないか、慧」 言いながら、一番痛みを感じる筈の嵩高い部分をゆっくりと埋めていく。これさえ通れば後は惰性のみだ。たっぷりと浴びせた粘液の音に、しきりに羞恥を示しながら慧がコクコクと首を縦に振る。 「だいじょ……ぶ……です。少し……痛い……けど……苦しく、ない……し、山野さんが……ああん……はいっ……る、はいって……くぅんっ」 ざわり、と慧の粘膜が山野を確認するかのように震えるのを感じた途端、思わず、ぐっと腰を一際深く沈めてしまった。 「あ、あ、あーっ、ひゃっ、ひゃうぅっ」 長く響く卑猥な水音と共に最奥までの貫通を果たしたのにホッと山野は息を吐く。慧はいきなりの山野の侵入に驚いたのか、少しばかり大胆な声を上げていた。 「っ……ごめんな……さ」 しゃくるように謝る慧に、山野は一瞬首を傾げた。しかし謝罪が何を指したかに気づくと、微かに笑った。すると中で山野の滾りが動くのが解ったのか、ヒクッと喉を鳴らしている。そのままじっと停止をしていれば、慧の内部が、じわじわと山野を撫でるように蠕動し始めた。接合部から漏れる小さな水音が寝室に響いている。 「やらしい音……声も、恥ずかしくないぞ、慧。ほら、ちゃんと奥まで入ったろ? 慧のお尻の中……凄く喜んでる。ああ、美味しいって、な? 今、俺の事一杯おしゃぶりしてくれてるみたいに……動いてるの解る?」 淫靡な睦言を、これもわざと大きく水音を立てて耳を舐めながら告げれば慧は一層息を荒げ、切れ切れに謝罪を漏らす。 「やっ……ごめな……さ……僕、いやらし……ごめ……な……さっ、あ、あぁ、あぁん」 しきりに詫びながら、それでも中に切ないほどの喘ぎが入り始めた。プルプルと震えている前部からはひっきりなしに先走りが滴り続けている。 「ああ……慧、ほら。前も一杯、涎が零れちゃってる。気持ちいい?」 そろり、と先端を指先で軽く円を描くようにすれば、荒い息を漏らしながら、いい、と告げ、腰を再び激しく動かそうとする。 自然と内部も山野を出し入れするかのように微かに擦れたが、痛みは訴えない。多少ローションの媚薬効果が効いているにしても、初めてにしてはかなりの乱れ様だ。 思わぬ収穫に、山野は内心でほくそ笑んだ。 案外ダーティーな猥語も好きなようだ。その上に少しばかり被虐体質なのかもしれない。 普段は清純そのものだし、性的な事にも酷く潔癖で、すぐに赤面してしまう。 まさしく昼は淑女、夜はなんとやらの喩えを地で行くタイプなのかもしれない。このギャップが却って淫らさを増している。ならばベッドでは精々鍛えてやらねば男が廃る、と妙な喜びがこみ上げてくる。 夜の悦びを知れば、昼間にすら、その色気が垣間見えはしないかと、心配事の種は増えてしまうのだが……。 ともあれ、なんと言っても慧はまだ初心者だ。最初から飛ばすのは宜しくない。少しでも長い時間を楽しみたいのであれば、ステップアップは緩やかな方が長く繋がってもいられる。 少々自分は辛いが、そのまま前のみを刺激してもう一度慧を解放させようと手を伸ばせば、慧が振り向いた。そのまま、ひた、と山野を見つめてくる。 「また……僕だけ? 山野さんは……?」 潤んだ目で確認するように聞かれれば、山野も苦笑を隠せない。 「慧が余り可愛いから……我慢出来そうにないけど我慢してんだよ。その方が少しでもくっついてられるだろ? それに痛くないほうがいいだろう?」 随分情けない台詞に、苦いものを噛むような気分で告げれば 「ど……して……? 僕、少し……なら痛くても……山野さんにも……気持ちよくなって欲しい……のに……僕じゃ……無理?」 珍しく拗ねたような口調で慧はぽつり、と呟く。これでは却ってご機嫌を損ねてしまいそうだ。その上、言葉の通り、慧の内部は緩かった蠕動の力が強まってきており、着実に山野を誘惑し始めている。 「っ……このっ……っとに……参ったなあ、もう。慧、いいか、痛かったらちゃんと言うんだぞ。気持ちいい事以外は、絶対我慢しちゃダメだ。解った?」 念を押すように山野が言えば、コクコクと喜びを顔に浮かべて、慧は頷いた。内部の様子を伺いながら、じわり、と分身を引き抜いてみる。きつさに変わりはないが、不自然な様子はない。 一番嵩高いところを入口近辺まで引き出し、もう一度ゆっくりと奥へと侵入を図る。初めてでもあり、狭隘な通り道の為、それなりの抵抗はある。しかし、慧からは痛みを訴える言葉は出ない。 流石に10代のバージン相手は山野も初めてだ。今までに何人かの破瓜を務めた事はあった。大抵、気持ち良かったとも言われはしたが、僅かな流血や痛みを訴えられるのは、避けられなかったものだ。記憶にある限りでは、その中に10代の相手はいなかったと思う。 ひょっとして、未成年ならではの身体の柔軟さに助けられているのかもしれない、と山野は思った。緩慢に抽挿を繰り返しながら、空いた片手を乳首に当て、爪と指で細かく揉みしだく。すると鼻にかかるような甘い声を漏らし、内部に微かな反応がある。 そろそろ大丈夫か、と思った山野は前立腺に狙いを当て、微かに抉る様な突き込みを小刻みに施した。段々そのピッチを上げ、慧の反応を伺う。 「あ、あっ、あーっやま……のさ、あ、そこぉ……あぁんっ」 果たして一際、甘い声が再び上がり始め、間違いなく体内でも慧が快楽の芽を感じ始めたのが解った。 「ここ……慧がさっき好きだったトコだよ……気持ちいい?」 背中越しに腰の動きを増しながら尋ねれば、慧の呼吸は段々切羽詰り、荒くなっていく。 「きも……ちい……ていうか……、あっ、なんっ、かっ……へんっ、なっちゃ、あぁ、あ、あっ、あぁっ」 ビクビク、と襞が激しく反応を始め、ずっと続けていた分身の刺激と同調して、複雑にうねり始める。屹立を食い締めながら、再び淫靡な動きを増す蠕動に、山野も恍惚とし、自身の限界がハッキリと見えてきた。 「慧……っ……く……うっ」 思わず漏らした快楽の声を慧は敏感に拾い上げた。 「やまのっ……さん……いい……ですか? 気持ち……いいのぉ?」 立場が逆転した質問を受け、山野は苦笑を漏らしながら腰使いを早めて、答えを返す。 「ああ……気持ちいいよ、慧の中……キュウキュウしてて……なのに俺の事凄い、やらしく可愛がってくれる」 ストロークを大きめに切替え、抉るような動きに遠慮なく、奥への深い突き込みを入れていく。同時に慧の前を握りこみ、指先で粘液をひっきりなしに零す小さな入口を抉るように掻く。 再び慧の肩ががくり、と大きく震えた。両手は掌が白くなるほどにきつくシーツを掴み、額をベッドにこすり付ける様にしながら、髪を振り乱している。そして淫らに語尾を引いて鳴き始めた。明らかにクライマックスの予兆を思わせる仕草だった。 「や……の……さぁ、は、はあっ、いっい、いっ、あんっ、あっ、ひあ、あーぁっ、ひぁんっ」 山野の動きと同じリズムで声を上げながら背筋をピン、と反らせ、慧の前部から白濁がびゅくびゅくと噴出す。女性とは違う、筋の隆起の目立つ、けれども白く滑らかな太腿が淡く痙攣しているのが、酷く視覚をそそる。 内部も収縮を繰り返しながらも、ぴったりと纏い付いてくるような感覚がたまらない。 「慧……うっ……俺もっ……ふ、うっ!」 酷く甘い慧の声に引き摺られるように音も高らかに腰を打ちつける。キュウッと慧が奥を引き絞るようにした途端、山野も我慢を重ねた今までの情欲を放った。 ぶるり、と身震いをしながら久々の放出に酷い解放感を覚えた。皮膜越しとは言え、相手の体温を感じながら中に放つのは実に1年半ぶりだ。 長い放埓を済ませても、何処か燻るような感覚が残る。案の定僅かに萎えただけで、芯は納まっていない。相手が慣れているのならそのまま第2ラウンドに突入するところだが、慧が相手だ。 本当は皮膜が外れてでも中に出してしまいたいのが本音だが、相手は何もかもが初体験なのだ。初手からそこまで教えてしまうのは流石に気がひける。 ここは一旦つけかえるのが矢張り紳士の礼儀だろう。ひくひくと肩をゆらし、余韻に浸る様子の慧がひどく愛おしい。そっと身体を前に倒し、淡い痙攣の去らない太腿を優しく撫で擦りながら、耳に囁く。 「慧……俺も一緒にイケたよ……凄く気持ちよかった。ありがとう……」 「あっ……んっ、やまの……さ……んっ、ほんと? 気持ち、よかった?」 嬉しそうに微笑みながら見上げる慧に深く口付ける。目からは情欲から溢れた涙が未だ途絶えず零れているのを、親指の腹でそっと拭ってやる。中の楔はそのまま、ゆっくりと慧を仰向けに、自分は上へと、互いに向かい合う体勢に誘う。 腰の下に枕を差し込んでやるのは忘れない。内部に残る芯でかき回される刺激に慧が甘く喘いだ。中の痛みを訴える声や、接合を深めるために左右に大きく脚を割る様に開いた体勢が辛いと言う苦情は出なかった。 ひょっとすると慧はかなり身体が柔らかい方なのかもしれない。確認の為に表情を見ればうっとりと蕩けたような目つきにも変化がなかった。 「……んっ……ふぅ……んっ」 口腔を少し荒っぽく舐めしゃぶりながら、萎え切らず芯の残る欲望で軽く摩擦をすると、再び慧の分身が角度を上げ始める。 「慧……また元気になってる……若いなあ」 からかう様に言えば、再び慧が顔を赤らめ、いたたまれないような顔をする。 「ごめんなさ……い……あっ、あぁ、あぁん」 くい、と腰を揺するようにしてやれば、甘い声を漏らし始めた。一度極めると立て続けに感じられる質なのかもしれない。 とはいえ、とうに出社をせねばならない時間を過ぎてもいた。遅刻は許されるかもしれないが、顔出しをすると言った以上、連絡は入れておかねばまずい。そろり、と引き出そうとすれば、慧がぎゅっ、とただですらきつい中を、引き絞る。 「っこらっ……あたたた」 「やぁっ……山野さぁ……っ……いや、抜くのいや。おねが……ぃっ」 果たして小さく漏らされた、遠慮がちな拒絶とお強請りに、山野は苦笑を漏らした。 「慧。ダメだ。初めてなんだから……無茶はしない。な?」 諭すように言えば、いつもは素直な慧が恨じるような流し目で山野を見上げてくる。その凄まじい程の色香に、ぞくり、と背中に戦慄が走る。外れてしまいそうな箍を何とか押し留めようとすれば、とんでもない台詞を慧がぽつり、と微かな声で口にした。 「中……山野さんの……出して……欲しい……です。ネットで見て……憧れてたから……」 一瞬言葉を失った山野の分身が凄まじい勢いで屹立する。途端、ベッドの側に置いた携帯が鳴った。山野の物だ。 息を呑むようにした慧を抱きかかえながらディスプレイを眺めれば、課長からだった。朝一で顔出しをすると言ったのに、9時の定刻を回っても来ない山野を不審に思ったのだろう。 ごめん、と謝りながら慧から抜こうとすれば、必死に拒む。珍しく聞き分けない慧をむしろ愛おしく思いながら、頷いて、解ったとジェスチャーを送り、背中を撫でてやる。 「……すみません……課長」 囁くような低い声で必死に快楽を押し殺しながら通話をすれば、どうした、と聞かれる。 課長、と言う単語に慧が反応し、慌てて身体を引き抜こうとするのを、山野は首を左右に振り、目線で留めた。 「その……滅多に出ない熱が……40度ありまして……っ」 「……っ」 慧がそれでも身体を引こうとするのを咎め、奥に自身を小刻みに数度ほど、打ち付ける。 「っぅ……っぁ」 山野のリズムに同調し、零れそうになる喘ぎを慌てて自分の指を噛んで抑える慧に首を振り、自分の掌を当てた。携帯を持ったまま、感じたら自分の手を噛むようにと仕草で示せば、慧は困ったような顔をする。 『ふん、確かにシンドそうな声だな。あっちじゃギリまで大変だったらしいし。引越し疲れか? ま、今日もそもそも休暇だしな、ムリしなくていいぞ』 寛容な課長の言葉に内心で、ひたすら詫びる。そのくせ、腰はしっかりちゃっかりと慧の奥を緩い動きで、再び攻め始めてしまう。 「……っ、……ぁふ」 甘い悲鳴を山野の掌に縋り、必死に堪えている慧が可愛くてならない。つい、出来心で、最奥をずん、と強く衝きながら捏ね回した途端、ひゅっと鋭い息を慧が漏らした。 『あ? どした、山野。そんな溜息ついて』 課長にまで聞こえてしまったらしいのに慌て、思わず慧の口を押さえる力を少しばかり込めてしまった。 「や、実は腹の……方も、はは。実は今朝からトイレの往復も酷くて、中々電話できませんですみません」 流暢な嘘が、口からポンポンと立て続けに出てくる。それでも腰の卑猥な動作は続けてしまう。内心で自分の欲深さに呆れながらも、慧の悩ましい悶えっぷりを見れば、止められない。 『おいおい、大丈夫かよ? まさかインフルエンザじゃねえだろうな? もういいから医者に行って、ゆっくり休め』 苦笑交じりに課長がカラカラと笑う声を聞きながら、僅かにしゃくっている慧に片目を閉じる。指でOKサインを出し、休みが取れた、と口パクで伝えた。 眉間に皺を刻み、申し訳無さそうな風情で、慧も唇のみを、ごめんなさい、と動かしているのがいじらしい。 前立腺の辺りまでカリの部分を引き、ぐりぐりと回すようにした途端、山野の掌を慧が堪えきれぬ風情で軽く噛んだ。しかし噛んだ後をこれも詫びるかのように丹念に山野の掌をゆっくりと舐める。慧の舌の感触と体温、その粘りに、一際、劣情が滾った。 「……っ! くっ……課長、すみません、俺…っ…すいませ! ん!」 『お、おお、じゃな!』 切羽詰った様子の山野の声に、課長は慌てた気配ですぐに通話を切ってくれた。そのまま携帯の電源を落としながら、山野は腰の動きを激しくする。これならば勢いで電源を落としたと言う言い訳も通じるだろう。 「ごめんなさぁ……っ会社っ……気づかなくぅ……あ、あんっ、あん、あぁーあっ」 感じながらも会社を欠勤する事になったのを詫びる慧の律儀さが微笑ましい。 お前は真似すんなよ、と囁きながら、はっ、と気づく。 「あ。お前こそ、講義は?」 腰の動きを止めて聞けば、 「今日……休……講で……」 言いながら、内部の襞は山野に続きを強請ってくる。心なしか腰も軽く揺すられている様だ。言葉より余程身体の方が正直に出来ているのは、万人共通なのかもしれない。 「そうか。もうここまで来たからリクエスト通り、中に出すぞ。でも後でお返しも欲しいんだけど……俺からもお強請りして、いいかな?」 衝き込むストロークを強くし、スピードを上げた途端、慧は再び声を引くようにして先ほどより激しく喘ぎ出す。皮膜が中でズルリ、とずれたのも構わず山野は今度こそ本能の命ずるままに、慧を攻め立てた。 「何でも……し……すぅ、あ、あぁ、あ、あーぁ、い、いぃ、そっれ、いぃっ!」 緩く掴んだ慧の先端を親指の腹で強めに細かく擦った途端、再び白濁が間歇的に涌いて出る。内部の襞が釣られて一段と複雑に痙攣する中、山野も自分の欲望を奥へ沁み込ませるようにして放った。放ちきった後も細かく揺すれば慧は一層引き攣れたような鳴き声を上げ、しゃくり始める。 「あ、あつぅ……や……のさ……おくぅ……あぁ、んっ……あつぅいぃ……」 もはや意味を為さない言葉を紡ぎながら、喘ぎ続ける慧に再び淫猥な言葉を囁きかける。 「一杯出したぞ、慧。俺の……お尻で飲んでくれちゃったな……すんげぇ、気持ち良かったよ」 ひくっ、と喉を鳴らしながら、慧は羞恥に染まった顔で問いかけてきた。 「気持ち……よかった? ほんと? 会社、本当に大丈夫ですか? ごめんなさい」 ヒクヒクと喉を鳴らしながら酷く嬉しそうに、けれどもしっかりと詫びは忘れず山野の頬に手を伸ばしてくる。その律儀さが愛おしくてならない。濡れて潤み切った瞳を見つめ、 「慧。初めてで抜かずの3発なんて……酷いかもだけど……このままもう1回、いい?」 腰を揺らせば、再び自身が回復するのが解る。これほどに滾ったのは何年ぶりだろう。まるで高校生に逆戻りしたかのような激しい己の情欲に山野は内心で驚きを隠せなかった。 頬に当てられた手を取り、甲に軽いキスを送りながら、山野は目の前の少しばかり淫らな王子様に請う様に告げた。 もうここまで来たらとことんまで愉しまなければ損と言うものだ。待たされ続けた1年半の燻りはそう、簡単に納まるものでもない。 多分、無茶苦茶に恥ずかしがって、ひょっとすれば泣きが入るかもしれないが、中に出した物の始末まで是非、愉しませて貰いたい。 そんな山野の淫らな画策をも知らず、慧は嬉しそうに山野にしがみつき、再び甘い喘ぎを漏らし始めた。 「今日はずっと、気持ちいい事だけ、しような」 耳元に甘く囁けば、 「山野さんの好きな事とか……気持ちいい事も、いっぱい……教えて下さいね……」 健気な答えが返ってくる。身体の内部も慧の言葉を肯定するかのように、再び山野を緩やかに蕩かしにかかってきた。 (……っくっ……こりゃ近いうちに……スッポンでも食わねーと、追っつかねーかもな) 山野が密かに精力増強を案じたとは露知らず、慧は酷く艶っぽい嬌声を再び寝室に響かせ始めた。 当然、野望は、その日のうちに風呂場で果たす事になった。案の定、泣きの入った慧は、かなりの抵抗を見せたが、終いには当然、違う意味で酷く泣きじゃくっても、くれたのだ。 週明けにまだ覚束ぬ華奢な腰を庇うようにして電車に乗り込む慧を、しっかりとガードする。その上、相手公認の少し過剰なボディタッチを満喫するのは忘れない。 ふと目の端に以前の痴漢を見つけ、山野は慧の耳に囁きかける。 「慧、あの親爺がいる。前に痴漢してた奴」 言いながらつっ、とシャツ越しに胸の突起を親指で掻いてクニクニと先端を揉み込む。 「多分あいつ、30分前後の便にいるんだな。前もそうだった。俺がいない時にはちゃんと時間ずらして乗るんだぞ? いいか?」 そう告げると、微かに喘ぎながらも、コクン、と慧は素直に頷いた。 「大丈夫です。僕、また護身術、始めてますから……。今度は捻りの業を教わったから、山野さんが留守の時もちゃんと懲らしめられますよ」 喘ぎすぎて、幾分枯れた声で物騒な事を告げられる。そう言えば少し筋肉質になっていたな……と山野は慧の裸体に思いを馳せる。 歳と共に成長したのかと思っていたが、さにあらず、らしい。 「怖いな……でもなあ。お前は怒るかもしんないけど。こうやって慧と知り合うキッカケ作ってくれたしなあ。案外俺、あの親爺には感謝してたりなんかして……」 苦笑を漏らしながら、胸への愛撫を停止し、耳を食むようにしながら囁きを落とす。 「痴漢の仲人にゃ、感謝だな。今日からは俺がお前公認の専属痴漢って訳だ」 露悪的な言葉に、頬を染めながら慧は向かい合った山野に身体を密着させ、凭れかかった。首筋に鼻をやり、スン、と匂いを嗅ぐようにして、思いもかけぬ睦言を漏らしてくれる。 「山野さんの香りがする……この香り、大好き……安心するけど……でもドキドキする」 甘い言葉に、悪戯心を起こし、露骨に慧の両足の間に太腿を挟みこむようにすれば嫌がるどころか、酷く嬉しそうにさえしている。調子づいた山野が局部同士を露骨に擦りつけても、乗りかかるようにすらしてくれるのが、堪らない。まさに恋人同士の蜜月そのものの痴態に、内心で呆れながらも、山野の身体はつい、欲望のままに動いてしまう。 腰に回していた掌で慧の尻たぶをクニクニと揉み、その感触を愛でていれば 「……っ、 あ……ぁ」 慧が、ごく僅かな悲鳴を上げた。密着を喜んでいた前はそのまま、山野の太腿から腰をグイグイとズリ上げて行く。 見る間に顔を赤く染め、必死の形相で慌てている素振りに、山野は、ある事が閃いた。 「……な。俺の……出ちゃった?」 今朝の残滓に違いない。寝起きに挑んだ時に生身で一度交わった。その後シャワーを一緒に浴びたが急いでいたので、始末しきれず残っていたのだろう。 ごく小さな問いに慧は眉間に皺を寄せ、腰を浮かせながら山野のジャケットの袖をギュッときつく握り締めてくる。 「とりあえず次で降りてコンビニ行こう。な? 無しでした俺も悪かった。ごめんな」 あやすように軽く背を叩いてやれば、コクン、と慧は頷き、首筋まで赤く染めている。 「僕が……お強請りしちゃったから……ごめんなさい」 ベッドで聞き慣れた、淫靡さを纏う小さな詫びの口調に、山野の分身が反応しかけた。 (くっ、やっべ……お強請りって……カワイすぎだろ、オイ。とりあえずトイレで待たせてパンツ確保して……まさか、んなトコで盛る訳にゃいかんし。夜まで我慢我慢と……) 山野の焦りも知らず、電車はゴトゴトと今日も都下に客を運んでゆく。 ……たまさか、こうして、人々のドラマを演出しながら。
いまだ詳細は届いておりませんが、一応の結果をご覧になりたい方はコチラへ。 |